質問者:
一般
Oak
登録番号4954
登録日:2021-01-02
個人の趣味の一環として、私が住む北東北における菌根菌と地域に自生している植物の関係を研究しています。中でも、近年、FFPRIなどで人工栽培化の研究が行われているセイヨウショウロ科のキノコについて関心を持っています。みんなのひろば
菌根菌の感染やその程度等を確認する方法
これは、私自身が近くの山林でイボセイヨウショウロと思われるものを発見したことがきっかけです。年配の方に聞くと、昔から山にはゴロゴロあったとのことです。
そこで、セイヨウショウロ科のキノコと地域に自生している植物、特に海外で人工栽培に用いられることが多いブナ科(例えばコナラ、ミズナラ、オオナラ等)やカバノキ科(例えばハシバミ、ツノハシバミ等)の植物と、どのように関わっているのか研究してみたいと考えるようになりました。これらは縄文時代から自生していると考えられる植物ですので、もしかしたら、縄文時代の人々も何かに利用していたかもしれない、などと思いを馳せながら研究しています。
そこで質問です。
感染が疑われる木の根を採取して観察し、次の項目を正確に把握するには、どのような方法によるのが適切でしょうか。
(1)菌根菌に感染していることの有無
(2)感染レベル(強弱)
(3)感染している菌根菌がターゲットとしているセイヨウショウロ科のキノコと同種かどうか
なお、個人の趣味の範囲での活動のため、高価な機材等を使用することはできませんので、それを踏まえて御回答をお願いします。
この分野は門外漢のため初歩的な質問かもしれません。
恐縮ですが、参考文献の御紹介と併せて御回答くださると幸いです。
Oak様
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。回答は森林総合研究所九州支所の木下晃彦先生にお願いいたしました。たいへん詳しく、わかりやすい回答をいただきました。
【木下先生の回答】
感染が疑われる木の根を採取して観察し、次の項目を正確に把握するには、どのような方法によるのが適切でしょうか。
(1)菌根菌に感染していることの有無
木の根が菌根菌に感染していることを判断するには、接種した樹木の細根(根の先端部に形成され、最も細い根の部分)に、外生菌根が形成されているかどうかで判断します。
まず最初に、土から根を露出し、外生菌根か感染していない細根かを見分ける必要があります。
コナラなどの広葉樹の根は、通常、外生菌根というタイプの菌根が形成されていて、細根の周りが菌鞘という菌糸構造で包まれているため、感染していないただの細根よりも直径が太く、肥大しています。また、菌根の周りには綿状の菌糸が付随することもあります。
外生菌根の色は、感染する菌の種類によって様々です。
慣れれば裸眼でも確認できますが、最初のうちは実体顕微鏡が必要です。
実体顕微鏡がない場合は、x10程度の拡大鏡でも可能です。
(2)感染レベル(強弱)
通常は、観察した全ての細根(末端根)に対して、対象とする菌根菌によって感染した菌根がどの程度占めているかを、割合で算出します。
(3)感染している菌根菌がターゲットとしているセイヨウショウロ科のキノコと同種かどうか
トリュフの菌根は、若いうちは薄茶色で、古くなるとこげ茶を呈します。菌根表面の菌糸構造は鍵目状になっています。
これを調べるためには、実体顕微鏡と光学顕微鏡を使います。
まず、実体顕微鏡で色や形状から、それらしい菌根を選び、スライド上に外生菌根をのせて、カバーグラスで押しつぶすことで観察できます。
顕微鏡を覗きながら、菌鞘の菌糸の表面構造や、菌根から伸びる菌糸の形態で判断します。
菌糸の直径は2〜5 μm程度ですので、これには光学顕微鏡が欠かせません。
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。回答は森林総合研究所九州支所の木下晃彦先生にお願いいたしました。たいへん詳しく、わかりやすい回答をいただきました。
【木下先生の回答】
感染が疑われる木の根を採取して観察し、次の項目を正確に把握するには、どのような方法によるのが適切でしょうか。
(1)菌根菌に感染していることの有無
木の根が菌根菌に感染していることを判断するには、接種した樹木の細根(根の先端部に形成され、最も細い根の部分)に、外生菌根が形成されているかどうかで判断します。
まず最初に、土から根を露出し、外生菌根か感染していない細根かを見分ける必要があります。
コナラなどの広葉樹の根は、通常、外生菌根というタイプの菌根が形成されていて、細根の周りが菌鞘という菌糸構造で包まれているため、感染していないただの細根よりも直径が太く、肥大しています。また、菌根の周りには綿状の菌糸が付随することもあります。
外生菌根の色は、感染する菌の種類によって様々です。
慣れれば裸眼でも確認できますが、最初のうちは実体顕微鏡が必要です。
実体顕微鏡がない場合は、x10程度の拡大鏡でも可能です。
(2)感染レベル(強弱)
通常は、観察した全ての細根(末端根)に対して、対象とする菌根菌によって感染した菌根がどの程度占めているかを、割合で算出します。
(3)感染している菌根菌がターゲットとしているセイヨウショウロ科のキノコと同種かどうか
トリュフの菌根は、若いうちは薄茶色で、古くなるとこげ茶を呈します。菌根表面の菌糸構造は鍵目状になっています。
これを調べるためには、実体顕微鏡と光学顕微鏡を使います。
まず、実体顕微鏡で色や形状から、それらしい菌根を選び、スライド上に外生菌根をのせて、カバーグラスで押しつぶすことで観察できます。
顕微鏡を覗きながら、菌鞘の菌糸の表面構造や、菌根から伸びる菌糸の形態で判断します。
菌糸の直径は2〜5 μm程度ですので、これには光学顕微鏡が欠かせません。
木下 晃彦(森林総合研究所九州支所)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2021-02-01
庄野 邦彦
回答日:2021-02-01