質問者:
大学生
ミント
登録番号4965
登録日:2021-01-15
大学のバイトで落ち葉の分析をしているのですが、一つのポイントから同じ樹種の葉で大きくサイズが異なるものが出ることがありました。別の木由来の葉かと思っていたのですが、質問してみると一つの木でも林冠に近いものは葉の大きさが小さくなり、光の当たりにくい部分のものは大きくなるという傾向があるので、違う木のものとは限らないと言われました。ただ、後から考えると林冠近くではただ葉が新しいために葉の成長が進んでおらず葉が小さいだけではないか思いました。みんなのひろば
樹木の葉の位置とサイズの関係
論文に当たってもいい論文が見つけられずはっきりしなかったので、樹木は本当に光の当たり具合によって葉の大きさをコントロールしているのか、教えて頂きたいです。よろしくお願いします。
ミント 様
このQ&Aコーナーをご利用いただきありがとうございます。
葉の形や大きさは、植物の種を特徴づける形質で、一義的には遺伝子によって決められています。しかし、現実に一本の樹木に付いている葉を詳しく調べて見ると、どれ一枚として同じ形や大きさのものはなく、大きなバリエイションがあることに気づきます。細胞の分裂と伸長が関連し合う形で葉の生長(成長)は進みますが、この場合の生長は限定的で、一定のサイズに達すると葉の生長はほぼ終了して「成葉」となります。以上のような葉の生長の過程は、当然、植物体の各部における内的な生理条件と曝されている環境条件によって大きく影響されるため、成葉となった葉の形状が多様なものになってしまいます。
さて、ご質問の点ですが、樹冠近くに位置して日当たりの良い葉と日当たりが悪い部位に位置する葉の間では、葉の大きさに時として大きな違いがあることが知られています。この違いは、日当たりの良し悪しの環境要因が原因となって生ずる「陽葉化」・「隠葉化」の分化によるものとして理解されます。この問題は本コーナーの登録番号4353で詳しく扱われていますので、そちらの方を参考になさってください。樹冠部の葉の生長が進んでいないことによって葉のサイズが小さい場合もあり得るかと思いますが、登録番号4353の回答を参考に、落葉を観察することで未熟葉と成葉の区別がつけられるかどうか確かめて見てください。なお、植物の種類によって違うと思いますが、未熟葉と成葉では落葉の仕方に差が生ずることがあるかも知れません。
このQ&Aコーナーをご利用いただきありがとうございます。
葉の形や大きさは、植物の種を特徴づける形質で、一義的には遺伝子によって決められています。しかし、現実に一本の樹木に付いている葉を詳しく調べて見ると、どれ一枚として同じ形や大きさのものはなく、大きなバリエイションがあることに気づきます。細胞の分裂と伸長が関連し合う形で葉の生長(成長)は進みますが、この場合の生長は限定的で、一定のサイズに達すると葉の生長はほぼ終了して「成葉」となります。以上のような葉の生長の過程は、当然、植物体の各部における内的な生理条件と曝されている環境条件によって大きく影響されるため、成葉となった葉の形状が多様なものになってしまいます。
さて、ご質問の点ですが、樹冠近くに位置して日当たりの良い葉と日当たりが悪い部位に位置する葉の間では、葉の大きさに時として大きな違いがあることが知られています。この違いは、日当たりの良し悪しの環境要因が原因となって生ずる「陽葉化」・「隠葉化」の分化によるものとして理解されます。この問題は本コーナーの登録番号4353で詳しく扱われていますので、そちらの方を参考になさってください。樹冠部の葉の生長が進んでいないことによって葉のサイズが小さい場合もあり得るかと思いますが、登録番号4353の回答を参考に、落葉を観察することで未熟葉と成葉の区別がつけられるかどうか確かめて見てください。なお、植物の種類によって違うと思いますが、未熟葉と成葉では落葉の仕方に差が生ずることがあるかも知れません。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-01-26