質問者:
大学生
稲川
登録番号5001
登録日:2021-02-26
学校に咲いている糸蘭を見てなぜ糸が出ているのか疑問を持ちました。インターネットで調べてみると糸蘭の若い葉の縁が剥がれ、それが縮れて白い繊維状の糸のように見える。とありましたが、なぜ葉の縁が剥がれてしまうのかが解決できませんでした。何か糸蘭にとって意味のあることなのでしょうか。
糸蘭の糸
柳川 様
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
いろいろ調べてみたのですが、生態的な研究、あるいは進化、適応に関連した研究の記載は見当たりませんでした。念のため熱帯植物にお詳しい遊川先生にお尋ねしたところ、下記のようなコメントを頂きました。
【遊川先生のコメント】
調べたところイトランそのものではありませんが同属の他の種において葉の解剖学的な観察は行われていました。葉縁の細胞が厚壁化し時間とともに剥離して繊維として残るという経過をたどります。イトラン属は葉の先端が鋭い刺になりますが、これは葉縁の厚壁化の結果です。刺は動物からの被食の回避に寄与するという推定は妥当と思いますので、葉縁の厚壁化は適応進化の結果と見なしてよいと考えます。しかし厚壁化の結果枯死した組織が糸状に残ることの機能や適応的な意義を示した研究にたどり着くことができませんでした。近縁のリュウゼツラン属においても特定の種の葉縁が繊維として残ります。平行進化の結果の可能性があり、もしそうであるなら、なんらかの適応的な形質である可能性があります。
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
いろいろ調べてみたのですが、生態的な研究、あるいは進化、適応に関連した研究の記載は見当たりませんでした。念のため熱帯植物にお詳しい遊川先生にお尋ねしたところ、下記のようなコメントを頂きました。
【遊川先生のコメント】
調べたところイトランそのものではありませんが同属の他の種において葉の解剖学的な観察は行われていました。葉縁の細胞が厚壁化し時間とともに剥離して繊維として残るという経過をたどります。イトラン属は葉の先端が鋭い刺になりますが、これは葉縁の厚壁化の結果です。刺は動物からの被食の回避に寄与するという推定は妥当と思いますので、葉縁の厚壁化は適応進化の結果と見なしてよいと考えます。しかし厚壁化の結果枯死した組織が糸状に残ることの機能や適応的な意義を示した研究にたどり着くことができませんでした。近縁のリュウゼツラン属においても特定の種の葉縁が繊維として残ります。平行進化の結果の可能性があり、もしそうであるなら、なんらかの適応的な形質である可能性があります。
遊川 知久(国立科学博物館筑波実験植物園植物研究部)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2021-03-20
庄野 邦彦
回答日:2021-03-20