質問者:
一般
えいこ
登録番号5021
登録日:2021-03-22
質問の受付をありがとうございます。みんなのひろば
双頭(または二股)のシクラメンの葉について
先日我が家でシクラメンの葉が二つに分かれているのを見つけました。
どうしたら一枚で出るはずの葉が双頭になるのでしょうか。
出現率としては四つ葉クローバーよりも珍しいけれど、双頭の蓮の花やススキの穂ほどは珍しくないというところでしょうか。
理由など調べたくQ&Aの中から四つ葉のクローバーに関するものも閲覧させていただきましたが、一本の茎が途中から二本に分かれているのでクローバーとは比較にできるようでできないような。
ちなみにシクラメンは傷つけないよう気をつけていましたが、この茎は株が土に埋まった部分から出て来ているので、新芽が土等の粒に当たりながら出て来ているとは思います。
また栄養に関しては売られている繁ったシクラメンに比べれば、ものすごく少ないです。
よろしくお願いいたします。
えいこ様
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。シクラメンは美しい花と、品種によっては美しい葉の模様を楽しみますが、異なった付き方の葉を見つけられるとはよく観察なさっていますね。私もネット上にそのような例は報告されていないか調べてみたところ、1件だけ、えいこ様の写真と同じような二股の葉の写真を載せた方がいました。もしかすると、気がつかないだけでそれほど珍しくないのかもしれません。
さて、どうしてそのような葉ができるかということですが、その前に、すでにご存じかもしれませんが、シクラメンの葉のでき方を簡単に述べておきます。植物は種子の中にできた胚が地中で成長を再開して大きくなっていきます。胚は幼根と胚軸と子葉とからできており、幼根は根系を作り、胚軸は茎の基部の部分となり、子葉はいわゆる芽生えの時の双葉です。双葉に挟まれた胚軸のてっぺんは茎頂で、ここで将来の茎と本葉が形成されて上に伸びていきます。シクラメンも最初はやはり種子から出発しますが球根を作ります。球根にはサツマイモやダリアのような根が膨らんでできた塊根とジャガイモのように茎が変形してできた塊茎があります。シクラメンは塊茎を作ります。ただジャガイモなどと異なるのはシクラメンでは胚軸が茎のように伸びないで押しつぶされた球形に膨らんできます(登録番号4621をごらんください)。
シクラメンの塊茎は饅頭の形に似ているので「ブタノマンジュウ」とも呼ばれます。和名は「カガリビバナ」と言いますが、今はシクラメンが一般的ですね。したがって、茎頂はマンジュウのてっぺんにあって、そこで葉そして花が作られていきます。葉と花は対になっていて、1つの葉の葉柄の内側に花ができます。茎は伸びないので、茎頂から葉が叢生したようになります。茎頂には分裂組織があって、新しく細胞が作られていきますが、それらの細胞群からは葉原基と花原基が分化し、それぞれ葉と花へと成長していくことになります。葉、花の形態的な作りは遺伝的に決まっていますが、これらの成長の過程は化学的、物理的、生物的など様々な要因に影響されて、変形することもありえます。
しかし、二股の葉に、しかも対称的に変わることは葉原基が大きくなっていく過程で、何かの原因で二つに分かれ、ちょうど一つの受精卵から双子ができるように、それぞれが独立した葉として成長したのだと考えられます。四つ葉のクローバーのでき方と似ています。お考えのように、葉の形成のごく初期に、たまたま、土粒などの硬いものに当たったことがきっかけで、そのようなことが起こったのかもしれませんん。なお、質問の中で「一本の茎が途中からーー」と書いておられますが、茎ではなくて「葉柄」です。葉柄は葉の一部です。
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。シクラメンは美しい花と、品種によっては美しい葉の模様を楽しみますが、異なった付き方の葉を見つけられるとはよく観察なさっていますね。私もネット上にそのような例は報告されていないか調べてみたところ、1件だけ、えいこ様の写真と同じような二股の葉の写真を載せた方がいました。もしかすると、気がつかないだけでそれほど珍しくないのかもしれません。
さて、どうしてそのような葉ができるかということですが、その前に、すでにご存じかもしれませんが、シクラメンの葉のでき方を簡単に述べておきます。植物は種子の中にできた胚が地中で成長を再開して大きくなっていきます。胚は幼根と胚軸と子葉とからできており、幼根は根系を作り、胚軸は茎の基部の部分となり、子葉はいわゆる芽生えの時の双葉です。双葉に挟まれた胚軸のてっぺんは茎頂で、ここで将来の茎と本葉が形成されて上に伸びていきます。シクラメンも最初はやはり種子から出発しますが球根を作ります。球根にはサツマイモやダリアのような根が膨らんでできた塊根とジャガイモのように茎が変形してできた塊茎があります。シクラメンは塊茎を作ります。ただジャガイモなどと異なるのはシクラメンでは胚軸が茎のように伸びないで押しつぶされた球形に膨らんできます(登録番号4621をごらんください)。
シクラメンの塊茎は饅頭の形に似ているので「ブタノマンジュウ」とも呼ばれます。和名は「カガリビバナ」と言いますが、今はシクラメンが一般的ですね。したがって、茎頂はマンジュウのてっぺんにあって、そこで葉そして花が作られていきます。葉と花は対になっていて、1つの葉の葉柄の内側に花ができます。茎は伸びないので、茎頂から葉が叢生したようになります。茎頂には分裂組織があって、新しく細胞が作られていきますが、それらの細胞群からは葉原基と花原基が分化し、それぞれ葉と花へと成長していくことになります。葉、花の形態的な作りは遺伝的に決まっていますが、これらの成長の過程は化学的、物理的、生物的など様々な要因に影響されて、変形することもありえます。
しかし、二股の葉に、しかも対称的に変わることは葉原基が大きくなっていく過程で、何かの原因で二つに分かれ、ちょうど一つの受精卵から双子ができるように、それぞれが独立した葉として成長したのだと考えられます。四つ葉のクローバーのでき方と似ています。お考えのように、葉の形成のごく初期に、たまたま、土粒などの硬いものに当たったことがきっかけで、そのようなことが起こったのかもしれませんん。なお、質問の中で「一本の茎が途中からーー」と書いておられますが、茎ではなくて「葉柄」です。葉柄は葉の一部です。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-03-27