一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ピンクの椿の横から、白い椿が生えてきた

質問者:   一般   トモandアイ
登録番号5039   登録日:2021-04-05
こんばんは、狭い庭に椿、八重の椿、ズオウの木、
モミジなどがあります。
以前は、黄色椿もありましたが、黄色椿は
枯れましたが、接ぎ木をしていたようで、元の椿が花を
咲かせました。
小さな庭に八重の椿が満開の花を咲かせていますが、
その横に、小さな一本の椿が生えてきたので、
八重の椿の根っこから生えたのかと思っていたら、
小さな一本に白い椿の蕾がついているのです。
植えていませんのに、どこからか飛んでくると言うような
場所でもないので、なぜ、白い椿が咲いているのか?
わかりません。
教えてください。よろしくお願いします。
トモandアイ様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。ツバキは花色や花模様が多様で、七変化とか七曜変化とか呼ばれている品種もあります。非常にたくさんの栽培品種が作出されており、その遺伝・系統関係も複雑です。また、同一の木でも何年かすると別の色の花がついたりすることもあるようです。それに、栽培品は枝の接ぎ木も多いようですね。
私の家の庭には五色の花のツバキが一本ありますが、赤、白、縦縞の赤白など賑やかです。私もご質問にもあるのと同じ経験をしています。この木でできた種子からの芽生えを一本別の場所に育てたら、全部白花の木になりました。この場合、親木は白花の遺伝子(色素を合成できない)も持っているわけですから、できた種子はたまたまこの遺伝子が発現できるものだったのでしょう。
トモandアイさんの八重のツバキの素性については幾つかの不明な点があります。花は赤(ピンク)一色なのでしょうか。種子から育てたもので、枝の接ぎ木などはしていないのでしょうか。もともと異なった品種を掛け合わせて作られたものでしょうか。八重花だから種子はできないのでしょうか。また、白花のツバキの木は根で親木と繋がっているのでしょうか。などなどです。親木の素性によっては様々な原因が想像されます。
もし白花の木が親木とつながっているとすれば、それは親木の幹から離れたところに形成された枝みたいなものですから、その芽が分化した時に起きた突然変異によることが考えられます。白花というのは、白い色素があるからではありません(このことについては登録番号4925とその回答中に参照されている他の番号の項目を読んでください)。本来の色を示す色素の合成ができなくなったからです。つまり、その色素の合成に関わる遺伝子に異常が起きるのです。
また、花は、特に縞模様や絞りなどの花模様はツバキに限らず、トランスポゾン(例えば登録番号3835をご覧ください)という「動く遺伝子」による影響も考えられます。ツバキは枝の接ぎ木が結構多いので、何年か生育しているうちに先祖帰りが起こって、元の色の花がつくこともあるようです。あるいは親木の台木がもともと白花で、それに八重のツバキの枝が接ぎ木されていたとしたら、台木から形成された枝あるいは新梢は台木の性質を示しますから当然白花でしょう。もし、親木と完全に別個体であるとすれば、それは種子からできたものです。そうすると、親木からの種子であれば、その種子(胚)ができるときに前述の突然変異が起きたのかもしれません。あるいは、そもそも白花の遺伝子があって、種子(胚)ができるときにその遺伝子が発現できる状態になっていたのかもしれません。親木からたくさん種子がとれるようでしたら、それらから発芽して育った木の中には、また白花の木が生じるはずです。もう一つ可能性は少ないですが、近くに白花のツバキがあって、自然交配が起きた。あるいは白花ツバキの種子を動物/鳥によって運ばれてきたかもしれません。
以上のようなことで、ご質問だけでは的確な回答はできませんので、推察してみました。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-04-29
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