中村C　様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。

ファイトプラズマが感染すると、植物によって、あるいは部位によって種々の特徴的な症状を示します。茎や葉の生長が阻害され小さく委縮する、葉や茎が黄色に変色する、側枝が異常に多く生ずる、側芽が異常に多く生じ葉や枝が密生するなどの症状に加えて、花の器官（萼、花弁、雄しべ、雌しべ）が葉に置き換わったり（葉化）、花弁や萼片が緑色を呈したり（緑化）することがあります。ファイトプラズマを扱った論文を検索したところ、菜の花（アブラナ：アブラナ科のBrassica属の植物）ではありませんが、Brassica 属植物で、添付して下さった葉化・緑化した写真とよく似た写真が掲載されている論文がありましたので、当初「変な菜の花」はファイトプラズマの感染によると思っていました。
しかし、植物病理学がご専門の前島健作先生（東京大学大学院農学生命科学研究科）から次のようなコメントを頂きました。ファイトプラズマによるものではなく、白さび病菌による症状ということです。

[前島先生のコメント]
私もここ数年、アブラナ科植物でこの症状をよく見ています。私も最初はファイトプラズマの感染だと思っていたのですが、実はアブラナ科植物に広く感染する白さび病菌（細菌ではなく真核生物の卵菌）による症状です。
作物では葉や大根に症状が出て問題になる病気ですが、花にも組織の肥大を伴う緑化・葉化を引き起こす場合があります。投稿された写真はまさにその症状と思われます（添付写真）。
　
以下の武蔵野種苗園さんのサイトにも、肥大して葉化、とあります。
http://www.musaseed.co.jp/disease/白さび病/ 　

なお、ファイトプラズマによる葉化・緑化については、本コーナーの #2434 に記載があります。また、難波成任著「創造する破壊者ファイトプラズマ」（東京大学出版会）（2017)に最近の研究成果を含めて詳しく解説されています。