一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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なぜ種子植物と胞子植物があるのか

質問者:   中学生   さつ
登録番号5088   登録日:2021-05-23
中学校の単元末研究の際に植物に対しての研究をすることになり,そこで,わからないところが出てきてしまったため,質問させていただきました。
中学校の授業で種子植物と胞子で増える植物を習いました。また,5界説も教えてもらいました。そこで,種子植物も胞子で増える植物も同じ植物界なのに,なぜ種子を作る植物と胞子を作る植物がいるのかということ疑問に感じました。これは,どうしてなのですか?教えて下さい。
さつさん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。学校で植物の繁殖の仕方について教わったのでしょうか。地球上では現存する植物の種類は正確にはわかりません。人によって推定数値はまちまちです。きわめて大雑把に言って20万種から30万種の間だろうと考えられています。これらの植物は形も、サイズも、生育場所も、生活様式も全部が同じではありません。他の生物についても同じですが、このように様々な植物があることを「多様性」と言っています。現在、これまでに人がもたらした自然環境の大きな変化が植物(生物一般)の多様性を脅かしていることが問題になっていますね。このような多様性はどうして出来上がったかというと、地球上で約35億年前に最初の生命体(始原細胞)が出現して以来長い年月の間に、生命体は変わりゆく過酷な環境に対応して生き延びるよう様々な変化を遂げてきました。植物はそれらの原始的な細胞の中で光合成機能を備えたものから独自に変化してきました。初めは海洋の中に生息していたものが陸上へと生息場所を広げるものも現れ、現在のような多様な植物の存在と分布(植物相)になったのです。このような変化の過程を「進化」と呼んでいます。進化についてはもっと詳しいことは高等学校の生物科目で習うはずです。
さて質問のことですが、このような植物の種類の分け方として、中学では「胞子植物」と「種子植物」に大別していますね。胞子植物にはソウ類、コケ類、シダ類が、種子植物には裸子植物と被子植物があることを習われたと思います。実は植物の進化の過程では、この順序で出現しました。つまり、胞子植物よりも種子植物の方がより進化した形だということです。進化の過程では旧いタイプのものは新しいタイプのものが出現すると全部消滅してしまうのではなく、多くは共存するか、限定された場所で生き延びていきます。胞子による繁殖も種子による繁殖も、その表面的な仕方は変わっていますが、基本的な仕組みは同じです。このことはやはり高校生物で勉強してください。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-06-11
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