一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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単子葉類と単子葉植物

質問者:   教員   ふじもり
登録番号5092   登録日:2021-05-27
中学生に生物を教えています。
植物の分類の単元で、「単子葉類」と「双子葉類」という分類が出てきますが、生徒から「単子葉植物」「双子葉植物」ではだめなのか、何が違うのかとよく質問を受けます。
どうやら、小学校(塾?)では「植物」の方で習うらしいのですが、中学校以降の教科書には「類」の方しか出てきません。
いろいろと調べた結果、現代の生物学で主流であるAPG分類体系では「類」の表記を用い、「植物」の表記はそれ以前の古い分類体系で用いられていたものである、という解釈に至りましたが、これは正しいのでしょうか?
また、もし正しいのであれば、「単子葉植物」と「単子葉類」の中身(これに分類される植物)に違いはあるのでしょうか?
試験などでは「類」でないとバツにしなければならないのですが、明解な説明ができず困っております。
ご教示いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。
ふじもり様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。今は分類体系が変わってきていて旧い文献に頼ると正しくないことがありますね。ご質問については植物系統・分類学がご専門の京都大学理学研究科名誉教授の戸部博先生に回答を書いていただきました。

【戸部先生の回答】
単子葉植物=単子葉類、双子葉植物=双子葉類、です。中に含まれる種は全く同じですので、どちらも正解です。
分類学者の間では、類は使わず植物を使います。類は慣用的な表現、植物は学術的な表現と言えます。
ちなみに、現在では、かつての双子葉植物は、祖先に近い「基部被子植物」と進化した「真正双子葉植物」の 2つに分解されています。
進化上、この両者の間に単子葉植物が来ます。ただ新たな図鑑などでこの扱いが定着するにはしばらく時間がかかると思いますので、今話すと中学生は混乱しまうだけかも知れません。
戸部 博(京都大学名誉教授)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2021-06-16
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