質問者:
小学生
さき
登録番号5097
登録日:2021-05-30
インゲンマメについて教えてください。みんなのひろば
インゲンマメの子葉が三枚
私は五年生の理科で、インゲンマメが光がなくても成長するかを調べるために用意をしていました。
インゲンマメの種子をわたの上で発芽させ、バーミキュライトに植えて、育てました。すると六つのうち一つが、子葉が三枚で一番最初の本葉も三枚になりました。過去の質問を見ると、四つ葉のクローバーやバラでは、うっかりミスや突然変異で、三つ葉から四つ葉になったり、子葉が三枚になったりすると分かりました。このインゲンマメでも同じ理由ですか。
それから、次のことも教えてください。
1、スマホで調べると、同じくバーミキュライトにインゲンマメの種子を植えた人が、子葉が三枚になったそうです。インゲンマメの子葉が三枚になるのは、バーミキュライトが関係していますか。
2、子葉が二枚の苗は、一番最初の本葉も二枚でした。子葉が三枚の苗は一番最初の本葉も三枚という決まりはありますか。
3、本で調べると、子葉が一枚の植物はひげ根がのび、二枚の植物は主根と側根がのびると書いてありました。子葉が三枚の場合の根はどうなりますか。
よろしくお願いします。
さき様
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
インゲンマメの子葉の数が普通2枚なのに3枚のがあるのを見つけられて、いろいろ疑問がわいたようですね。以前から多くの研究者が子葉の数について関心を持って調べています。裸子植物のマツの仲間のある植物では、子葉数は3~6 で平均すると4になるとか
ヒマラヤスギの仲間のある植物では、子葉数は7~12で、平均は9になるとかというように裸子植物のうちマツカサを作る球果植物では子葉の数のばらつきは大きいようです。それに比べ被子植物の双子葉植物のは2枚で単子葉植物のは1枚のものがほとんどですが、双子葉植物の中にも子葉数が1枚のものがあります(登録番号1297)。
また、双子葉植物の2枚の子葉を持つ植物でも、ある頻度で2枚より多いものや少ないものが出現するということが、サトウダイコン、キャベツ、タヌキマメの1種など多くの植物で調べられています。インゲンマメもそのうちの一つで、その出現は遺伝的なものと考えられています。
ある程度のばらつきはありますが、双子葉植物や単子葉植物の子葉の数は、球果植物に比べると一定していますので、子葉の数を一定に保つしくみがあると考えられます。
その仕組みは、シロイヌナズナという双子葉植物を用いて調べられています。これまでに2枚の子葉にわかれるのに必要な遺伝子があることや種子の中の芽生えのもとになる胚で、子葉になる2箇所に、植物ホルモンのオーキシンが蓄積することが必要だということはわかっていました。最近子葉を2枚にするために必要な酵素が見つかりました。この酵素をつくる遺伝子に変異がおきると、子葉の数や形などに変化がおきます(オーキシンの蓄積も見られなくなります)。シロイヌナズナでは仕組みがだんだんわかってきましたが、インゲンマメではわかっていません。
クローバーが四つ葉になる仕組みも実験をするのに必要な条件が難しいので(登録番号2923をご覧下さい)わかっていません。さらにクローバーの場合は葉の一部(1枚の葉は3枚の小葉からできている)の変化ですから、子葉と同じ仕組みで数が増えるのかはわかりません。説明が長くなってしまいましたが、回答としてはインゲンマメの子葉の増加がクローバーの四つ葉のでき方と同じかどうかは「わかりません」ということになります。
次に付随した3つの質問についてです。
(1)のバーミキュライトが子葉数の増加に関与しているかという質問ですが、その可能性は低いと思います。その理由は、土壌など他の保持体を用いても3枚の子葉のものが見られることや種子の中で子葉はすでに形成されていることなどです。また、子葉の主要な葉脈は胚の胚軸に繋がっていますが、2枚の子葉のものは全部で2か4であるのに対し、3枚のものは3か6で、その数は胚軸ですでにその数になっているというインゲンマメでの観察記録があります。胚ができる過程ですでに決まっていることを示しています。
(2)の子葉の数と本葉の数が同じになるかという質問ですが、そのような法則はないと思います。キウリ、ヘチマ、カボチャなど子葉が2枚の植物でも本葉は1枚です。しかし、対生(同じところに2枚の葉が着く)のものが、輪生(同じところに複数の葉が着く)になるなど、子葉数の変化が葉序(茎の上での葉の配列)に変化を及ぼすことが知られています。
(3)の質問はどのような本を読まれたのかわかりませんが、恐らく単子葉植物と双子葉植物における根の発育を説明したものだろうと思います。一般に、子葉が2枚の双子葉植物では胚の幼根(種子の中で成熟した胚は子葉、胚軸、幼根からできている(登録番号1881に詳しい説明があります))が伸びて主根となり、主根から側方へ側根が多数形成されます。子葉が1枚の単子葉植物では幼根が伸びず、不定根(本来根とは異なる部位からでる根)が多数形成されひげ根になります。3枚のものはどうかは、調べてごらんになったらどうでしょうか?
小学5年生ということですので、易しく説明できないか、いろいろ考えてみたのですが私にはできそうにありませんでしたので、ご両親あてに回答を作ってみました。お父様かお母様に説明して頂いて下さい。
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
インゲンマメの子葉の数が普通2枚なのに3枚のがあるのを見つけられて、いろいろ疑問がわいたようですね。以前から多くの研究者が子葉の数について関心を持って調べています。裸子植物のマツの仲間のある植物では、子葉数は3~6 で平均すると4になるとか
ヒマラヤスギの仲間のある植物では、子葉数は7~12で、平均は9になるとかというように裸子植物のうちマツカサを作る球果植物では子葉の数のばらつきは大きいようです。それに比べ被子植物の双子葉植物のは2枚で単子葉植物のは1枚のものがほとんどですが、双子葉植物の中にも子葉数が1枚のものがあります(登録番号1297)。
また、双子葉植物の2枚の子葉を持つ植物でも、ある頻度で2枚より多いものや少ないものが出現するということが、サトウダイコン、キャベツ、タヌキマメの1種など多くの植物で調べられています。インゲンマメもそのうちの一つで、その出現は遺伝的なものと考えられています。
ある程度のばらつきはありますが、双子葉植物や単子葉植物の子葉の数は、球果植物に比べると一定していますので、子葉の数を一定に保つしくみがあると考えられます。
その仕組みは、シロイヌナズナという双子葉植物を用いて調べられています。これまでに2枚の子葉にわかれるのに必要な遺伝子があることや種子の中の芽生えのもとになる胚で、子葉になる2箇所に、植物ホルモンのオーキシンが蓄積することが必要だということはわかっていました。最近子葉を2枚にするために必要な酵素が見つかりました。この酵素をつくる遺伝子に変異がおきると、子葉の数や形などに変化がおきます(オーキシンの蓄積も見られなくなります)。シロイヌナズナでは仕組みがだんだんわかってきましたが、インゲンマメではわかっていません。
クローバーが四つ葉になる仕組みも実験をするのに必要な条件が難しいので(登録番号2923をご覧下さい)わかっていません。さらにクローバーの場合は葉の一部(1枚の葉は3枚の小葉からできている)の変化ですから、子葉と同じ仕組みで数が増えるのかはわかりません。説明が長くなってしまいましたが、回答としてはインゲンマメの子葉の増加がクローバーの四つ葉のでき方と同じかどうかは「わかりません」ということになります。
次に付随した3つの質問についてです。
(1)のバーミキュライトが子葉数の増加に関与しているかという質問ですが、その可能性は低いと思います。その理由は、土壌など他の保持体を用いても3枚の子葉のものが見られることや種子の中で子葉はすでに形成されていることなどです。また、子葉の主要な葉脈は胚の胚軸に繋がっていますが、2枚の子葉のものは全部で2か4であるのに対し、3枚のものは3か6で、その数は胚軸ですでにその数になっているというインゲンマメでの観察記録があります。胚ができる過程ですでに決まっていることを示しています。
(2)の子葉の数と本葉の数が同じになるかという質問ですが、そのような法則はないと思います。キウリ、ヘチマ、カボチャなど子葉が2枚の植物でも本葉は1枚です。しかし、対生(同じところに2枚の葉が着く)のものが、輪生(同じところに複数の葉が着く)になるなど、子葉数の変化が葉序(茎の上での葉の配列)に変化を及ぼすことが知られています。
(3)の質問はどのような本を読まれたのかわかりませんが、恐らく単子葉植物と双子葉植物における根の発育を説明したものだろうと思います。一般に、子葉が2枚の双子葉植物では胚の幼根(種子の中で成熟した胚は子葉、胚軸、幼根からできている(登録番号1881に詳しい説明があります))が伸びて主根となり、主根から側方へ側根が多数形成されます。子葉が1枚の単子葉植物では幼根が伸びず、不定根(本来根とは異なる部位からでる根)が多数形成されひげ根になります。3枚のものはどうかは、調べてごらんになったらどうでしょうか?
小学5年生ということですので、易しく説明できないか、いろいろ考えてみたのですが私にはできそうにありませんでしたので、ご両親あてに回答を作ってみました。お父様かお母様に説明して頂いて下さい。
庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-06-23