一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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ムラサキヤマイモの紫色素の現れ方

質問者:   公務員   たぷ
登録番号5116   登録日:2021-06-14
ムラサキヤマイモを種芋として切ったところ、一本のうちでくびれのあるところで紫色の現れ方が違いました。片方は紫が果肉にもあるのですが、片方は白肉だけでした。この場合、栽培したらどのような色の現れ方になるのでしょうか。紫のある種芋からしか紫肉はでないのでしょうか。それとも同じような芋がとれるのでしょうか。はたまた、色のでかたは全くその時次第であまり遺伝のようなものではないのでしょうか。
たぷ様

植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。

ムラサキヤマイモの種芋のくびれのあるところを境として、紫色の現れ方が違うということですが、恐らくくびれは一度成長が止まったところから再び成長が開始されたところでできたもの(芽の成長も含む)ではないかと思います。ムラサキヤマイモの紫色はアントシアニンの色ですが、色の違いはくびれを境にしてアントシアニンの蓄積に差異が生じたことによると思います。差異の生じ方には2つの可能性があります。一つは再び成長がはじまった細胞のアントシアニン合成系の遺伝子のどこかに変異が生じて合成されなくなった場合です。もう一つは、アントシアニンの代謝系が影響を受け(合成の阻害あるいは分解の促進など)蓄積がみられなくなった場合です。アントシアニンの蓄積は、光などの環境要因、オーキシンなどの植物ホルモン、組織の性質などによって影響を受けます。くびれを境として白色になった原因が前者の場合はその部分から得られた植物体の芋は紫色にはならないでしょう。後者の場合は紫色の芋を作る可能性が高いと思います。紫色の部分から再生したものの芋はほとんど全部紫色になると思います。
観察された種芋のような記載がないか調べてみたのですが、見当たりませんでした。したがって上記の回答は推論です。
観察された種芋の白色部分が2つの可能性のうちどちらなのかは調べてみないとわかりません。
庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-07-18
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