一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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CO2削減へ向けて。

質問者:   会社員   花田
登録番号0512   登録日:2006-02-10
以下のものについて、一年間におけるCO2吸収量をご存知でしたら、教えてください。

・屋久島全体
・観葉植物1本当たり
・街路樹(例えば、けやき)1本当たり

どれかひとつでも構いません。他の例でも構いません。
様々な文献を調べたところ、スギの木のデータだけは見つかったのですが、他のものについても知りたく。。
具体的な数値を教えていただけますと大変助かります。

どうぞよろしくお願いいたします。
花田 様

 植物の光合成によるCO2吸収量は、二つの表し方があります。一つは光合成によってその植物が固定したCO2量で示す場合です(A)。しかし、光合成によって一旦CO2固定された糖を初めとする光合成産物の少なくとも50%は、植物が新しい枝、葉を作る成長のため、また、土壌からの無機養分吸収など植物の体を維持するために、呼吸によって消費されます(B)。従ってその植物が実質的に固定した量、(A)から(B)を差し引いた値が純生産量として、植物による大気CO2の吸収量の評価に用いられています。
観葉植物や街路樹1本当りの数値は植物の種類や大きさによって異なるため、お答えすることはできません。植物群落、森林などについての1年間、1平方メーター当りの純生産量(kg、乾燥量)を、(Walter Larder: 佐伯敏郎監訳“植物生態生理学”シュプリンガー・フェアラーク東京(1999) pp.108-109)から一部引用しておきます。
サトウキビ:6-8、トウモロコシ:2 –4、イネ:2-5、スギ:5.3、ヤナギ:5.0、ポプラ:3.5―4.0、熱帯雨林:2.2、落葉樹林:7、常緑温帯林:1.3、北方針葉樹林:0.2―1.5。
地球全体の植物による純生産量はこれらの値とその面積を基として推定されています。

なお本コーナーの登録番号0435に対する回答に草地の純生産量について、また、質問0539に対する回答に植物の呼吸の意味について議論されていますので併せてご覧下さい。
JSPPサイエンスアドバイザー
 浅田 浩二
回答日:2006-03-03