一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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葉っぱと木材の違いとは?

質問者:   大学生   かず
登録番号5121   登録日:2021-06-16
木材を粉々にして利用することなどはよく聞くのですが葉っぱを粉々にして利用するなどはあまり聞いたことがないです。なにか繊維や成分の違いがあるのでしょうか?
かず 様

このコーナーをご利用いただきありがとうございます。

木材(維管束の木部に次生組織が加わってできる永久組織)は、古代から、私たちの生活に関わる広い分野で活用されてきました。そのような関係があって(また、新しい活用の途もあり)、粉末化した木材がご指摘のように広範囲に利用されているのが実情かと思います。利用される理由としては、先ずは身近に大量に存在する比較的安定な素材であることがありますが、より本質的には、その化学的な構成と、それを基礎にした物理学的な特性がいろいろな目的にかなう点が挙げられるかと思います(木材を構成する化学成分については、本コーナーの他のQ/Aを参照してください)。

一方、粉末にされた葉も嗜好品(例えば抹茶)・香料・機能性食品などとして利用されています。しかし、活用される用途の範囲は木材の場合に比べると非常に狭いようです。光合成の機能に特化している葉は、太陽からの光を受けやすいように一般には薄っぺらい形状をしており、木材に比べると非常に柔らかい組織で構成されています。葉と木材では繊維や成分に違いがありますが、葉が粉末としてあまり利用されない理由は、含まれている成分によるのではないように思います。利用に際して手間がかかること(乾燥など)や安定なバイオマスとしての存在量が少ないことが、粉末化した葉があまり利用されない理由ではないでしょうか。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-07-11
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