一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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光合成について

質問者:   小学生   しゅんしゅん
登録番号5123   登録日:2021-06-18
初めまして。植物の葉は光合成をしてでんぷんを作っていますが、葉にアルミフォイルをしてどのくらいででんぷんはなくなるのでしょうか?1時間おきに、脱色した葉をヨウ素液につけて、いつなくなるか調べればわかるのでしょうか?1日日陰に置くとなくなるというのは本で見たことがあります。詳しく何時間ぐらいでなくなるのか知りたいです。よろしくお願いします。
しゅんしゅん 君

この質問コーナーにようこそ!
光合成では、光のエネルギー(力)がとり込まれていろいろな物質が作られます。デンプンはその一つです。光が当たった葉にたまるデンプンは、すぐに水に溶けやすい砂糖のようなものに変化し、根や茎などに送られて行きます。光が当たった葉にたまったデンプンは、ヨウ素反応で確かめられるように、次の日の朝にはほとんど消えてしまっているのがふつです。ただし、消えて行くはやさ(スピード)は植物の種類やおかれた条件によって違ってきます。

デンプンが消えて行くスピードは「1時間おきに、脱色した葉をヨウ素液につけて調べる」ことで大まかには見当がつくと思います。少し大がかりになるかも知れませんが、次のような実験をしてデンプンが消えて行くスピードを調べてみるのはいかがでしょうか。

(考えられる実験の一例)
1)(インゲン豆のような)栽培が簡単でデンプンがたまる植物をポットで栽培する(後で書くような理由から、実験に使える葉が少なくとも30枚ていど以上は育つような規模で用意する)。
2)植物が適当大きさまでに育ってから、(朝の時刻に)一枚の葉について光が当たる部分と当たらない部分ができるようにアルミフォイルをかけ、光の当たった部分にデンプンが十分にたまってくるまで太陽の光にさらしてから(午後の時刻)、ポットの植物を日かげに移す(あるいは、ポット全体が日かげになるようにする)。
3)その後、移した直後(時間ゼロ)、日かげに移してから1時間、3時間、6時間、12時間ていどの時間ごとに葉を切りとり、葉が乾かないように工夫して冷蔵庫の中で保存する。
4)最後の葉をとり終わった段階で、保存していたすべての葉について、緑の色素(クロロフィル)などを脱色をしてからヨウ素染色を行い、葉っぱに残っているデンプン量の時間にともなう変化を調べる。
5)結果をまとめる。

(注意することなど)
(1) 実験は晴天の日に行うようにする。
(2) 採取する葉は、一つの条件(日かげに移してからの時間)について、はぼ同じ大きさに育った3枚以上の葉があることが望ましい(全体として、30枚ほどのほぼ同じ生長段階にある葉があることが望ましい)。
(3) ヨウ素反応によって生ずる染色の濃さがそこに存在するデンプンの量に比例するようになる条件を選ぶことに工夫が必要である。
(4) 同様な実験で、光が当たってデンプンがたまってくるスピードを調べることもできる。

この質問コーナーには関連するQ&Aがたくさんありますので参考にしてください(例えば、登録番号5128)。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-07-08