一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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いちごの葉の変色について

質問者:   会社員   うたか
登録番号5129   登録日:2021-06-22
初めまして。
いちごの葉は、色が赤く紅葉したような色になります。特に温度が低かったり、光が当たりづらい下位葉に見受けられます。

紅葉は、クロロフィルを分解してできた糖を樹木本体に再転流させる反応と聞いたのですが、いちごのような果菜類であっても、樹木のような紅葉反応により、葉から他の部位への再転流はあり得るのでしょうか?
うたか 様

植物Q&Aをご利用いただきありがとうございます。

落葉樹の場合とは違って、多年生草本であるイチゴに見られる紅葉化の現象は自然条件下での生活環を構成する過程であるとは言えないように思います。果菜類の果実が育って行く過程では、緑葉から果実への大量の光合成産物の流入が必要ですが、注目すべき点は果実が成熟した後でも葉は緑のままで光合成の機能を維持している事実です。通常の環境条件下では、紅葉化が果実成熟の前提とはなっていないようです。

イチゴの葉の紅葉化は、栽培下における栄養不足などのストレス条件下で見られることが多く、その生理的な意義は生産性が低下した葉を切り捨てることにあるように見受けられます。光合成系への何らかの負荷がトリガーとなってクロロフィルの分解が進行するものと思われますが、その際に葉の成分が植物体の他の部分に転流される可能性は十分にあり得ると思います(「クロロフィルを分解してできた糖」の表現には違和感を感じますが)。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-07-21
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