質問者:
会社員
SSSSS
登録番号5130
登録日:2021-06-23
植物の葉の斑入りの種類にはウイルスなどの環境的要因を除くと①細胞核遺伝による斑入り、②細胞質遺伝による斑入り、③キメラによる斑入りがあり、そのうち①②は種子で遺伝する(②は母性遺伝)が③は遺伝しないとありました。みんなのひろば
区分キメラによる斑は遺伝するのか?
③の理由として、植物の3層構造のうち、第2層が生殖細胞の元になるため、第2層が斑入りならF1は全斑になって枯れる、第2層が緑色ならF1は普通の葉になって斑が遺伝しないそうですが、もし第2層が区分キメラの場合、うまく斑が遺伝するように思えるのですが、間違っているのでしょうか。
それとも生殖細胞は1つの細胞を元にして分裂するので、第2層が区分キメラでも、結局は斑入りまたは普通の細胞のどちらかのみの生殖細胞となり、F1は全斑か普通の葉しか現れないのでしょうか?
ご教示ください。
参考URL:http://www.poporo.ne.jp/~kondoh/fuiri/mecha.htm
SSSSSさん
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
斑入りの研究をされている坂本 亘先生に解説をお願いいたしました。なお、坂本先生には何度かこのQ&Aコーナーで解説をお願いしておりますので、「斑入り」で検索してでた解説も参照して下さい。
【坂本先生のお答え】
斑入りは、園芸植物でよく見かけるし、美しく希少なので珍重されますよね。でも、斑入りがなぜ起こるか、あるいはどのように遺伝するかについては、今回の質問の通り、いろんなケースがあります。葉の斑入りについては、この質問コーナーで私もよく回答していますので、登録番号4099, 0727, 0468, 0235などを参考にしてください。また、今回の質問であるキメラに関しても、登録番号0465などで詳しく述べられています。
キメラは、果樹の「枝変わり」で起こる突然変異を考えるとわかりやすいと思います。成長点で生じた突然変異が細胞分裂により正常な細胞とキメラを作り、すべてが変異した細胞に置きかわると、その枝からは野生型と違う花や果実ができます。種子ができるかどうかはケースバイケースですが、その枝から出来た子孫はキメラではありません。
一方、葉の斑入りは、成長点で起こったキメラの状態が細胞層での細胞分裂で維持されたり、異なる細胞層へ伝わったりすることで生じ、いろんなパターンになります。
でも、どのパターンでも遺伝様式は枝変わりと同じで、生殖を経てキメラを維持することはできません。成長点のL2層が区分キメラになっていても同じで、生殖を経て伝わるのは、どちらか一方になります。後代では、斑のない緑の葉か、アルビノの植物が両方できますが、斑入りにはなりません。
ところで、葉の斑入りではありませんが、アサガオでは「絞り」という花色の斑入りが知られています。この系統では、種子を取って次の世代を植えても、花に斑入りができます。質問コーナー登録番号4760などに詳しく書かれているので、参考にしてください。
このアサガオの例のように、トランスポゾン(動く遺伝子)が葉の斑入りに関係していると、キメラが次の世代にも現れることがあります。
また、あたかもキメラのように見える葉の斑入りが、劣性の核遺伝子の突然変異でメンデル遺伝することがあります。そのような場合は、実際はキメラではないので、種子を取って斑入りを維持することができます。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
斑入りの研究をされている坂本 亘先生に解説をお願いいたしました。なお、坂本先生には何度かこのQ&Aコーナーで解説をお願いしておりますので、「斑入り」で検索してでた解説も参照して下さい。
【坂本先生のお答え】
斑入りは、園芸植物でよく見かけるし、美しく希少なので珍重されますよね。でも、斑入りがなぜ起こるか、あるいはどのように遺伝するかについては、今回の質問の通り、いろんなケースがあります。葉の斑入りについては、この質問コーナーで私もよく回答していますので、登録番号4099, 0727, 0468, 0235などを参考にしてください。また、今回の質問であるキメラに関しても、登録番号0465などで詳しく述べられています。
キメラは、果樹の「枝変わり」で起こる突然変異を考えるとわかりやすいと思います。成長点で生じた突然変異が細胞分裂により正常な細胞とキメラを作り、すべてが変異した細胞に置きかわると、その枝からは野生型と違う花や果実ができます。種子ができるかどうかはケースバイケースですが、その枝から出来た子孫はキメラではありません。
一方、葉の斑入りは、成長点で起こったキメラの状態が細胞層での細胞分裂で維持されたり、異なる細胞層へ伝わったりすることで生じ、いろんなパターンになります。
でも、どのパターンでも遺伝様式は枝変わりと同じで、生殖を経てキメラを維持することはできません。成長点のL2層が区分キメラになっていても同じで、生殖を経て伝わるのは、どちらか一方になります。後代では、斑のない緑の葉か、アルビノの植物が両方できますが、斑入りにはなりません。
ところで、葉の斑入りではありませんが、アサガオでは「絞り」という花色の斑入りが知られています。この系統では、種子を取って次の世代を植えても、花に斑入りができます。質問コーナー登録番号4760などに詳しく書かれているので、参考にしてください。
このアサガオの例のように、トランスポゾン(動く遺伝子)が葉の斑入りに関係していると、キメラが次の世代にも現れることがあります。
また、あたかもキメラのように見える葉の斑入りが、劣性の核遺伝子の突然変異でメンデル遺伝することがあります。そのような場合は、実際はキメラではないので、種子を取って斑入りを維持することができます。
坂本 亘(岡山大学資源植物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
今関 英雅
回答日:2021-07-27
今関 英雅
回答日:2021-07-27