一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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根粒菌の窒素へのアクセスについて

質問者:   一般   モヂズリ
登録番号5134   登録日:2021-06-26
根粒菌は植物の根粒組織内では植物細胞膜に包まれたバクテロイドの状態で存在していると知りました。
ではその状態で根粒菌はどうやって気体窒素にアクセスするのでしょうか。
根粒の皮層組織には酸素の拡散を防ぐバリアーがあると言いますが、選択的に窒素を通す機構等があるのでしょうか。
また、窒素は植物細胞膜を二度通る必要があると思いますが、能動的に窒素を取り入れるチャネル等があるのでしょうか。
モヂズリさん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
バクテロイドは宿主細胞の細胞膜由来の膜で包まれ、この膜を特にペリバクテロイド膜と呼んでいますが、基本的には脂質二重層から出来ていて電気的には中性です。そのため、窒素分子、酸素分子、二酸化炭素分子などの分子量の小さい中性分子はそれぞれの濃度勾配にしたがって脂質二重層を通過出来ます。空気のおよそ80%は窒素です。バクテロイド内ではニトロゲナーゼの作用で窒素分子はアンモニアに変換されているので窒素分子の分圧は低くなっていますので、空気の窒素は問題なく受動的にバクテロイド内へ移動します。ペリバクテロイド膜に窒素を選択的に通過させる仕組みはありません。
空気は根のアポプラスト経路を通して各細胞の細胞壁まで達しています。
酸素はニトロゲナーゼを阻害しますが、根粒の皮相組織にはレグヘモグロビンがあり酸素分子を結合しますので、酸素分圧が低く保たれます。しかし、根粒組織の呼吸に必要な程度の酸素分圧は保たれています。
酸素、窒素の生体膜通過に関しては登録番号0169, 1625, 1256, 1130, 1712などをご参照下さい。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-07-21
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