一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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タンポポなどのキク科の植物の受粉、受精について

質問者:   一般   yosishun
登録番号5136   登録日:2021-06-27
キク科の植物は花弁の裂片一つひとつが花だそうですが、その裂片に雄花、雌花はどういう状態になっているのでしょうか。またその雄花、雌花の受粉、受精の仕組み特に「花粉管ガイダンス」について教えてください。
yosishun様

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。まずキク科の花の作りについて理解していただきたいのですが、詳しい説明は登録番号4700を読んでください。キク科の花の特徴は集合花だということです。つまりたくさんの花が集まってできています。代表的な花、例えばヒマワリは一番外側に見られる舌状花と舌状花に囲まれた内部に詰め込もれているように配置されている筒状花から成り立っています。どちらの花も花冠(合弁花)とその基部の子房の上に冠毛と呼ばれる毛状体が取り巻いています。花弁の数は5枚で舌状花は花弁が一枚の花弁のようにくっついてしまっていますが、筒状花はユリやスズランのように筒状(鐘状)になっています。どちらの花も両性花で中央に雌しべが飛び出し、柱頭(雌しべの先端)の下部の花柱を取り巻くように雄しべがあります。しかし、この花の構造にも種によって多少の違いがあります。タンポポは筒状花がなく全部が舌状花ですし、イソギクは全部が筒状花からできています。いずれにしろ、どちらの花もそれぞれ単1の独立した花です。したがってキク科の花の場合は、それぞれの花は独自に受粉し、子房内に一個の種子を作ります。冠毛は綿毛となって種子の拡散に役立ちます。
ご質問にある裂片は合弁花であり、雄花、雌花の区別はありません。受粉・受精については一般的な被子植物の過程と同じです。本コーナーの登録番号4927(花粉の認識)、登録番号4710(一般的な受粉・受精の過程)、登録番号4461(花粉管の正体)、登録番号3230, 2512(受精)を読んでください。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-07-15
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