一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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脇芽と腋芽、とう立ちと抽台

質問者:   一般   丞
登録番号5139   登録日:2021-06-29
脇芽と腋芽は同じものを指しますが、
なぜこのように2つの言葉があるのでしょうか。
なぜ名称が統一されていないのか、気になります。

とう立ちと抽台は同じものを指しますが、
なぜこのように2つの言葉があるのでしょうか。
なぜ名称が統一されていないのか、教えて下さい。
お願いいたします。
丞 様

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。

ご指摘のように、本コーナーのQ&Aにおいても「脇芽」と「腋芽」が混在しております。時として『脇芽(学術用語では「腋芽」)』と記されている場合があります。学術用語としては「腋芽」の方が正しいと言う訳です。

そもそも「学術用語」とは何でしょうか。植物において頂芽とは別に葉の脇(葉腋)から側芽が形成されることは昔からから知られていて、この芽に対する名前がいろいろと付けられていたものと想像されます。西洋文明を受け入れた明治以降の日本では、西洋語からの翻訳語としての学術用語が作られ体系化される歴史を辿ることになりますが、特に第二次世界大戦後に当時の文部省の主導で各分野の(英語と関連付けられた)学術用語の制定が進められました。文部省・学会などの専門家集団・権威ある出版社などが主導する形で学術用語が提案されて行きましたが、この提案は場合(用語)によってはすんなりと一般には受け入れられず、用語が混用される事態に至っていると見なすことができます。「腋芽」の場合には、脇を意味する「腋」が当用漢字に指定されなかったこともあって、「脇」を使う「脇芽(わき芽)」の方がなじみやすいと受け取られたため、前述のような注釈を付けての使用が続いているものと思われます。この用語に関しては園芸や作物など関連する分野が広いので、慣用的な用法が便利なものとして分野によっては使い続けられているのかも知れません。初心者を混乱させることがありますので、何れかの機会に検討されるべき課題であると思います。

「とう立ち」と「抽台」との間にも類似の事情があるものと思われます。**
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-07-24
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