一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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あさがおの花の色とみずやり

質問者:   一般   さといも
登録番号5164   登録日:2021-07-24
夏休みということで、小学校1年生の娘が朝顔を持って帰りました。
『同じクラスの子の花は、ブルーや紫など色々咲いていたのに、自分のはずーっと赤紫で残念だった』と話していました。

『毎日水やりをするように』と学校から言われていたのでそうしていましたが、ある炎天下の続く日に一泊二日でキャンプに行きました。
出発前に水やりをし、翌日の夜帰ってきた時には朝顔がぐったりして葉も所々黄色くなっていたので、すぐにたっぷり水をあげました。
驚いたのは翌朝です。
これまで赤紫に咲いていた花が、薄いブルーに変わっていたのです。娘は大喜びでした。学校から持って変える前に1ヶ月近く花が咲き続けていたので、違う種から花が咲いたということはあり得ないと思います。
この件で、娘が『朝顔の色を操ってみたい』と言い出しました(笑)でも、確かに私も興味があります。
朝顔はpHで色が変わるとインターネットに書いてありましたが、色々読むと土の影響は関係ないということも書かれており、正直途方にくれました。

土が関係ないのであれば、朝顔内の水分量でpHが変わったということなのでしょうか?
仕組みや方法など、アドバイス等がございましたら、ご教授いただけると助かります。今思いついているのは『水をあげない間隔を空けてみる』ということだけです。

ちなみに我が家はマンションで、朝顔はマンションのベランダに小さなプランターに入れて育てられております。
さといも さん

みんなのひろば「植物Q&A」ようこそ。
質問を歓迎します。
回答は、基礎生物学研究所(大学共同利用法人)アサガオバイオリソースユニットの星野敦博士にお願いしました。
 
【星野先生の回答】
アサガオの青い花弁は、一日のうちでも色が変化します。ツボミのうちは赤色〜赤紫色をしていて、花が開くときに青くなり、また時間が経ってしおれてくると赤色や赤紫色になります。完全にしおれた花弁は全く青くありません。アサガオの品種によって赤くなりやすさは違います。また同じ品種でも、あるいは同じ株でも、日当たりがよく気温が高いと早くしおれて赤紫色になります。お友達のアサガオと色が違った理由は、品種の違いや日当たりの違いが原因だと想像されます。
それから私たちの温室では、若くて小さい鉢植えのアサガオの株は、十分に育った大きな鉢植えの株よりも花弁がしおれやすくて、早く赤くなる傾向が観察されます。その原因はわかっていませんが、もしかしたら若い小さな株は花弁の水分を保持できないとか、何か水分量と関係があるのかもしれません。水やりと赤くなりやすさを調べてみると面白そうですね。
アサガオの花弁の色素は、細胞の中にある袋状の構造(液胞)に蓄えられています。この液胞内のpHが高いと青く、低いと赤くなります。
上述した色の変化は、一日のうちで液胞内のpHが変化するからです。このpHを操作できれば色を操ることができます。例えば、ドライアイスを使うとpHを低くすることができるので、こちらの動画のような実験が可能です:
[アサガオの花色変化実験(基礎生物学研究所広報室)、https://www.youtube.com/watch?v=dwqfu5ys6IM

なお、仕組みをより詳しく知るには、本【植物Q&A、みんなのひろば】で、登録番号3347を参考にしてみてください。(なお、そこにある「空色西洋アサガオの花色変異の仕組みとは?」のリンク先のURLは、現在は、以下に変更されています。)
http://www.info.human.nagoya-u.ac.jp/lab/yoshida/research3.html

まずは、一日のうちで花弁の色が変化していく様子を観察してみてください。
星野 敦(基礎生物学研究所アサガオバイオリソースユニット)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2021-08-14