一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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色水の実験

質問者:   小学生   ぴろゆず
登録番号5166   登録日:2021-07-25
夏休みの自由研究で、食用色素で白い花を染める実験をしました。
白のトルコキキョウ、ガーベラ、かすみ草、菊、カーネーション、ヒペリカムの白い実を染めました。

染まりやすい花と染まりにくい花がありました。インターネットで調べたら『トルコキキョウが染まりにくいのは、茎がかたいから』と書いていました。
でも、茎がかたかったヒペリカムの白色の実はきれいにそまりました。
どうして茎がかたくてもそまったのですか?
実は染まりやすいのですか?

ヒペリカムの花が売ってなかったので、ヒペリカムの花がそまりやすいかの実験は出来ませんでした。
よろしくお願いします。
ぴろゆず さん

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。

切り枝に色水を吸わせ、白い花や実が染まる速さを調べられたようですね。このやり方で植物の組織が染まる仕組みについては登録番号3872のQ&Aで説明されていますので参考にしてください。要点をまとめると、水に溶けた色素は水と一緒に道管などのネットワークによって植物の体内を移動し、水の分子が体の表面(気孔など)から蒸発(蒸散)して失われる結果として色素が取り残されて貯まる(染まる)と言うわけです。

染まる速さは一般には植物の生理状態や組織の作りによって違ってくるものと思われますが、速さに一番大きく影響するのは吸水の速さで、その原動力となるのは地上部で起こる水の蒸散であると言えます。茎の固さは植物体を安定に保つために役立っていますが、外圧に対する茎の固さや柔らかさが道管を通した水の流れと関連しているとは必ずしも言えないので、色素による染まりにくさを茎の固さだけに結びつけて考えることには少し無理があると思います。蒸散のスピードから考えると、花よりは実の方が染まりやすいと期待することはできないように思います。

ヒペリカム(オトギリソウ、弟切草)は今が開花のシーズンですので、どこかで(白い?)花を見つけて同じ材料で(花と実との)比較の実験をしてみられることをおすすめします(一日花ですので、花屋さんで見つけるのは難しいかも知れません)。

夏休みの期間はまだ長く残されていますので、これまでに得られた実験結果をもとにしてさらに考え、探求を深められることを期待します。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-08-07
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