一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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豆苗のジュース栽培

質問者:   小学生   りか
登録番号5171   登録日:2021-07-28
水栽培している豆苗を、最初からジュースや塩水などで栽培したら、ジュース味や塩味の豆苗、色水で育てたらカラフルな豆苗ができるのかなと思って、実験してみました。

栽培につかった液体は
①水道水②塩水③めんつゆ④オレンジジュース⑤レモン水⑥コーヒー⑦お酒⑧色水(食紅)
を使いました。
1日2回朝と夕方に液体を交換して1週間育てました。

塩水とめんつゆとお酒は3日目でかれてしまいました。しらべてみたら、塩があるとかれるということがわかりました。お酒も塩が入っている料理酒をつかってしまったのでかれてしまいました。

オレンジジュースは4日目に育つことなく、かれてしまいました。

1週間育てたら、水道水と色水は同じくらい(15センチくらい)のびました。
コーヒーとレモン汁は5,6センチメートルくらいしかのびませんでした。

茎をきってみると、コーヒーは真ん中と周りの3つの管が黒く色がついてましたが、見た目も先の葉っぱも色はつきませんでした。赤色の色水も色はつきませんでした。

食べてみてもコーヒー味もレモン味もしませんでした。

植物に味をつけることや色をつけることはできないのでしょうか?
りか さん

ご質問をありがとうございます。豆苗(エンドウの根付き若芽)を使った大実験をされたようですね。

実験の結果を私は次のようにまとめてみました。
(実験結果の要点)①水道水と色水の場合に比べて、オレンジジュースなど他の6種類の栽培液(質問文参照)を使った実験では豆苗の生長が抑えられた:②着色の観察や食べてみた感じからは、栽培液として与えた成分が豆苗の体内に積極的に取りこまれて行ったようには見受けられなかった。

実験の結果について考える際に、いくつかの栽培液に共通する成分として「塩」に注目されたのは良い着眼点だと思います。それにしても、それぞれの栽培液にはいろいろな物質が含まれていますので、すべての栽培液の場合について豆苗の生長が抑えられた原因を説明することは簡単ではありません。ここでは個別の場合についての考察はしないで、実験全体についてコメントを書かせていただくことにします。
(1)まずは、実験のしかたに関することですが、たとえ生育に必要なものであっても濃さ(濃度)によって影響のしかたが違ってくることがあるので、それぞれの栽培液について濃さを変えた実験をする必要があると思います。
(2)植物は生育に必要なものを外部の環境から選択してとり入れる性質をもっております。植物の生育にとって基本的に必要なものは、①二酸化炭素、②水、③光、④肥料の四つで、肥料の成分としては植物体を燃やしてできる灰のようなものが中心になります(園芸店で「液肥」として販売しているものに相当する)。栽培液の組成を変えることで育ってくる植物の品質(味や色を含めた)を変えることは可能ですが、根から与えるものの味や色を育ってくる植物にそのまま着けることは原理的に不可能だと思います。ただし、切り枝や切り花の場合には、液に入れる色素成分を吸収させて花や葉の色が変えられることもあるようです(このコーナーの登録番号5166参照)。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-08-12
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