質問者:
小学生
サクラ
登録番号5173
登録日:2021-07-28
ホウセンカを育てています。昨年、登録番号みんなのひろば
ホウセンカが大きく育つ光
4827でも質問をしましたが、今年も、ホウセンカと光の関係を調べています。ニュースで、緑色の光の中で育てたヒラメは他よりも大きく育つという結果がありました。わたしも、これだと思い、白色や黒色の遮光シートのほかに、緑色の光をあてて、育てようとしました。1回目は、外で黒い遮光シート90%を2枚重ね、中に緑色の光(ソーラーパネル付きの光の弱いライトに緑のセロファンを貼りました)を当てると、一週間で枯れてしましました。今光が弱かったのかと思い、園芸用のLEDライトを購入し、また、緑色のセロファンをはり、今は、室内で発芽の様子を観察しています。またライトだけではなく、光の反射を生かして、台を緑にしたりとか。。。工夫ができないか考えています。
ホウセンカを育てるための必要な光の特徴をまとめようと思います。今年は、ホウセンカの条件をできる限り揃えたつもりですが、このようは方法であっていますか。教えてください。
ホウセンカを育てるための必要な光の特徴をまとめようと思います。今年は、ホウセンカの条件をできる限り揃えたつもりですが、このようは方法であっていますか。教えてください。
サクラ 様
みんなのひろば 植物Q&Aへようこそ。
質問を歓迎します。
質問者は、以前にもホウセンカについて類似した質問をくれましたが、それについては登録番号4827で「緑色光は植物に吸収されにくいので光合成の効率が低い」と回答しました。なお、緑の光も多少は光合成に役に立つことも知られています。葉には厚みがあり、そこに並んだ細胞中にある葉緑体は、赤や青などの吸収されやすい波長の光は光合成に役立ち、日の当たる側にあるものには十分な光が供給されますが、内側にあるものにはあまり供給されません。細かく見ると、内側にある葉緑体には吸収の程度が低い緑色光が届きやすいので、緑色光もそのような場所にある葉緑体の光合成には多少役に立っている面もあります(登録番号1855)。
さて、植物生育用にLEDランプが市販されていますが、その波長は植物が利用しやすい赤、青色のものが、生育に役立つので、よく売られています。
陸上と違い、海の中では、水深によって届く波長の光が違います。赤や青の光は表面に近い海水によって吸収されやすく、吸収されにくい青緑色の波長の光が深部にもある程度届きます(テレビや映画で見たことがあると思います)。やや深い海に生育する海藻類は、深くまで届く青緑色の光を吸収する特殊なカロテノイド(カロチン)を持っており、それが吸収した光は光合成に利用されます(登録番号3533参照)。コンブなどの褐藻類やミルなどの一部の藻類がこれにあたります。陸上植物はこのようなカロテノイドを持たないので、緑色の光は、一般に利用する効率が低くなります。
ヒトは、色覚細胞として、赤―黄、青―紫、緑―青の光を感じる3種のものを持っています。ヒト以外の動物にはこれより多くの色覚細胞を持つものもあり、魚類の一部は青緑色の光に特に感度の高い色覚細胞を持つものも知られています。水深の深い海では、青緑色の光に感度の高い色覚細胞を持つもつことが、生存に有利に働くのかもしれません。
一方、陸上植物では緑色の光は、吸収されにくく、利用されにくい光です。もしどうしても、陸上植物を緑の光で育ててみようとすれば、光の強さを3倍、5倍とすれば、多少は育つかもしれません。しかし、多少育ったからと言って、生物学的にはほとんど意味はありません。
みんなのひろば 植物Q&Aへようこそ。
質問を歓迎します。
質問者は、以前にもホウセンカについて類似した質問をくれましたが、それについては登録番号4827で「緑色光は植物に吸収されにくいので光合成の効率が低い」と回答しました。なお、緑の光も多少は光合成に役に立つことも知られています。葉には厚みがあり、そこに並んだ細胞中にある葉緑体は、赤や青などの吸収されやすい波長の光は光合成に役立ち、日の当たる側にあるものには十分な光が供給されますが、内側にあるものにはあまり供給されません。細かく見ると、内側にある葉緑体には吸収の程度が低い緑色光が届きやすいので、緑色光もそのような場所にある葉緑体の光合成には多少役に立っている面もあります(登録番号1855)。
さて、植物生育用にLEDランプが市販されていますが、その波長は植物が利用しやすい赤、青色のものが、生育に役立つので、よく売られています。
陸上と違い、海の中では、水深によって届く波長の光が違います。赤や青の光は表面に近い海水によって吸収されやすく、吸収されにくい青緑色の波長の光が深部にもある程度届きます(テレビや映画で見たことがあると思います)。やや深い海に生育する海藻類は、深くまで届く青緑色の光を吸収する特殊なカロテノイド(カロチン)を持っており、それが吸収した光は光合成に利用されます(登録番号3533参照)。コンブなどの褐藻類やミルなどの一部の藻類がこれにあたります。陸上植物はこのようなカロテノイドを持たないので、緑色の光は、一般に利用する効率が低くなります。
ヒトは、色覚細胞として、赤―黄、青―紫、緑―青の光を感じる3種のものを持っています。ヒト以外の動物にはこれより多くの色覚細胞を持つものもあり、魚類の一部は青緑色の光に特に感度の高い色覚細胞を持つものも知られています。水深の深い海では、青緑色の光に感度の高い色覚細胞を持つもつことが、生存に有利に働くのかもしれません。
一方、陸上植物では緑色の光は、吸収されにくく、利用されにくい光です。もしどうしても、陸上植物を緑の光で育ててみようとすれば、光の強さを3倍、5倍とすれば、多少は育つかもしれません。しかし、多少育ったからと言って、生物学的にはほとんど意味はありません。
櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-08-17