一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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イネの葉の構造について。

質問者:   中学生   うどん
登録番号5178   登録日:2021-08-02
初めまして!
いきなりなのですが私の夏休みの課題に身の回りの植物について観察しレポートを書くというものがあります。

そこで私はイネを観察することにしました。

そして観察しているうちに葉が触る向きによってざらざらしたりすべすべになったり手触りが変化することに気づきました。

しかしその原因について調べてみてもなかなか納得できず…
そこで、手触りの違いの原因についてわかりやすく解説していただけると嬉しいです!

よろしくお願いいたします。
うどんさん

質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。植物は見るだけでなく、触ったりかいだりすると色々新しいことや、不思議なことがたくさんあります。もっとも有毒なものもありますから注意が必要ですが。
さてご質問はイネの葉についてご研究なさった東京大学大学院農学生命科学研究科の伊藤純一先生にお願いして回答を書いて頂きました。なお、回答中にあるトライコームについては本コーナーでも過去にいくつか質問があり回答されていますので、「トライコーム」で検索して読んでみてくださいください。例えば登録番号2383, 4087, 4116


【伊藤先生の回答】
面白いことに気が付きましたね。まず、イネの葉の手触りが触る方向によって異なる原因は、葉の表面から生えている”毛”です。トライコームとも呼ばれています。
イネの場合、葉の表面には何種類かの毛が生えていますが、手触りに関係するのは、硬く、先が鋭く尖った”剛毛”と呼ばれる毛になります。この剛毛は葉の先端に向かって生えているため、葉先から根本に向かって触ると、毛の先端が皮膚に引っかかるので「ざらざら」した手触りになり、逆に根本から葉先に向かって触ると、引っかかるものが無いので「すべすべ」した手触りになります。ちなみにイネの品種にはこの毛が生えないものがあり、この品種では触る方向にかかわらず「すべすべ」した触感になります。
イネの毛は非常に小さいので観察は難しいかもしれませんが、高倍率のルーペや市販の顕微鏡などでは観察できるかもしれません。観察する場合は葉の縁や籾(もみ)の表面がおすすめです。
伊藤 純一(東京大学大学院農学生命科学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
勝見 允行
回答日:2021-08-17