質問者:
会社員
星人
登録番号5181
登録日:2021-08-04
植物の根が鉢底でローリングする方向には規則性があるのでしょうか?みんなのひろば
根のローリングについて
北半球と南半球で違うのか、植物の種類によって違うのか、また決まりはないのか教えてください
星人さん
みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。質問を歓迎します。
回答は、植物細胞の機能について研究されている橋本隆博士(奈良先端技術大学院大学教授、バイオサイエンス領域)にお願いしました。
【橋本先生の回答】
茎や根といった植物の主軸器官はゆるやかな巻き運動をします。ご質問の鉢底での根の巻きは根の伸長成長時の巻き方向を反映しているものと考えられます。ダーウィンは名著「植物の運動力」の一章で茎の旋回運動(circumnutation)を詳細に記述しており、古くから知られた現象です。茎と根の旋回運動は一般的には同じメカニズムで起こると考えられていますが、証明されたわけではありません。根の旋回運動は地中で起こりますので、ライブ観察が困難であり、不明な点も多くあります。固い寒天上で幼植物を育てると、根は波状にくねりながら重力方向へ伸びてゆきますので、この波状成長は良く調べられています。しかし、2次元の寒天上の生育条件では3次元情報(右巻きか左巻きか)が失われています。
一方、茎の旋回運動の研究では、巻き方向は右か左のどちらか一方に決まってはいないことが解っています。ただし、植物種や実験条件に影響されるのか、右か左のどちらかの方向が多くみられる場合も報告されています。地球の磁場の影響(北半球と南半球で違うのか)は報告されていません。
茎や根の軸器官構造そのものに見られるねじれに起因するつる性植物の巻き運動と上記の旋回運動とは異なる要因で起こります。つるのねじれ方向は決まっており(例えば、アサガオでは右巻き)、微小管細胞骨格を主体とした生体ポリマーの高次構造がねじれ方向の決定に関わっています。また、エンドウなどのマメ科植物の巻きひげの巻く方向は決まっておらず、巻きひげの終点(巻き付く先)と起点(巻きひげの根元部分)から逆方向にねじれ始め、中間点ではねじれがみられない部分が生じます。
みんなのひろば「植物Q&A」へようこそ。質問を歓迎します。
回答は、植物細胞の機能について研究されている橋本隆博士(奈良先端技術大学院大学教授、バイオサイエンス領域)にお願いしました。
【橋本先生の回答】
茎や根といった植物の主軸器官はゆるやかな巻き運動をします。ご質問の鉢底での根の巻きは根の伸長成長時の巻き方向を反映しているものと考えられます。ダーウィンは名著「植物の運動力」の一章で茎の旋回運動(circumnutation)を詳細に記述しており、古くから知られた現象です。茎と根の旋回運動は一般的には同じメカニズムで起こると考えられていますが、証明されたわけではありません。根の旋回運動は地中で起こりますので、ライブ観察が困難であり、不明な点も多くあります。固い寒天上で幼植物を育てると、根は波状にくねりながら重力方向へ伸びてゆきますので、この波状成長は良く調べられています。しかし、2次元の寒天上の生育条件では3次元情報(右巻きか左巻きか)が失われています。
一方、茎の旋回運動の研究では、巻き方向は右か左のどちらか一方に決まってはいないことが解っています。ただし、植物種や実験条件に影響されるのか、右か左のどちらかの方向が多くみられる場合も報告されています。地球の磁場の影響(北半球と南半球で違うのか)は報告されていません。
茎や根の軸器官構造そのものに見られるねじれに起因するつる性植物の巻き運動と上記の旋回運動とは異なる要因で起こります。つるのねじれ方向は決まっており(例えば、アサガオでは右巻き)、微小管細胞骨格を主体とした生体ポリマーの高次構造がねじれ方向の決定に関わっています。また、エンドウなどのマメ科植物の巻きひげの巻く方向は決まっておらず、巻きひげの終点(巻き付く先)と起点(巻きひげの根元部分)から逆方向にねじれ始め、中間点ではねじれがみられない部分が生じます。
櫻井 英博(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-08-31