質問者:
中学生
MK
登録番号5189
登録日:2021-08-07
私は自由研究で、カイワレ大根に牛乳をあげた場合と、水をあげた場合を比べてどう成長するかを調べました。人は牛乳を飲むと大きくなるとよく聞きますが、植物の場合はどうなるのだろうと思い、実験しました。みんなのひろば
カイワレ大根 牛乳をあげるとなぜあまり成長しない?
ペットボトルを切って作った容器2つに、1つは水でしめらした脱脂綿を、もう1つは水と牛乳1:1の水溶液でしめらした脱脂綿をひいて、それぞれ10粒ずつカイワレ大根の種をその上に置きました。
すると、水をあげて育てたカイワレ大根の種の方が牛乳で育てた方よりも早く発芽し、ぐんぐんのびていきました。一週間後、最終的にどちらも発芽はしましたが、牛乳の方はあまりのびず、のびた長さに大きな差ができました。
なぜ牛乳をあげて育てると、こんなにも成長しないのでしょうか?
ご回答、よろしくお願いします。
MK さん
この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。「動物の成長に良い(役立つ)ものは植物の成長にも良いはずである!」-このような考えでなされた自由研究ですね。確かに、水などは動物と植物に共通して成長に必要な成分ですが、それ以外の成分については動物と植物では事情が大きく違ってきます。以下、具体的に考えることにします。
まずは、カイワレダイコンの成長の過程をたどることにします。種子が水分を吸収して発芽し、種子(子葉)の細胞の中に蓄えられていた栄養分(タンパク質・炭水化物・脂肪など)を分解してエネルギーを取り出すことで成長を続けますが、すぐに光合成ができるようになり太陽からの光のエネルギーを利用するやり方に養分の取り方が変わって行きます。光合成による成長では、光のエネルギーに加え、大気中から吸収される二酸化炭素と根で吸収される無機物(肥料成分)が必要となります。
牛乳にはタンパク質・炭水化物・脂肪・ビタミンなどの栄養分が多く含まれているため、子牛は母乳だけで長期にわたって成長することができます。しかし、牛乳が子牛にとって(また、ヒトにとって)いくら栄養豊かであっても、植物はそれらの栄養分を体内にとり入れることはできません。したがって、水の場合を除いては、牛乳の成分が(直接には)植物の成長に役立つことはありません。
一方、牛乳水に含まれている水は確かに植物の成長に使われますが、牛乳の中ではタンパク質や脂肪などの成分が水に溶けない状態で存在(白濁)していて、膜を作るなどして水の流通に大きな障害を与えます。カイワレダイコンの発芽や成長が(水だけの場合に比べて)影響されたのはこのような理由によるのではないでしょうか。
この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。「動物の成長に良い(役立つ)ものは植物の成長にも良いはずである!」-このような考えでなされた自由研究ですね。確かに、水などは動物と植物に共通して成長に必要な成分ですが、それ以外の成分については動物と植物では事情が大きく違ってきます。以下、具体的に考えることにします。
まずは、カイワレダイコンの成長の過程をたどることにします。種子が水分を吸収して発芽し、種子(子葉)の細胞の中に蓄えられていた栄養分(タンパク質・炭水化物・脂肪など)を分解してエネルギーを取り出すことで成長を続けますが、すぐに光合成ができるようになり太陽からの光のエネルギーを利用するやり方に養分の取り方が変わって行きます。光合成による成長では、光のエネルギーに加え、大気中から吸収される二酸化炭素と根で吸収される無機物(肥料成分)が必要となります。
牛乳にはタンパク質・炭水化物・脂肪・ビタミンなどの栄養分が多く含まれているため、子牛は母乳だけで長期にわたって成長することができます。しかし、牛乳が子牛にとって(また、ヒトにとって)いくら栄養豊かであっても、植物はそれらの栄養分を体内にとり入れることはできません。したがって、水の場合を除いては、牛乳の成分が(直接には)植物の成長に役立つことはありません。
一方、牛乳水に含まれている水は確かに植物の成長に使われますが、牛乳の中ではタンパク質や脂肪などの成分が水に溶けない状態で存在(白濁)していて、膜を作るなどして水の流通に大きな障害を与えます。カイワレダイコンの発芽や成長が(水だけの場合に比べて)影響されたのはこのような理由によるのではないでしょうか。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-08-24