一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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色水の変色

質問者:   小学生   こはゆ
登録番号5192   登録日:2021-08-09
花の色水を作りました。色水は花びらと水を交ぜただけのものです。
紫陽花の色水を作った時に最初はほとんど色が出なかったのですが、そのまま置いておいたら、次の日には色がベージュっぽくなり、日に日に茶色に近い色になりました。
アサガオの色水は最初は紫色だったけれど、次の日には少し薄くなり赤紫色に変わりました。
なぜ時間がたつと色が変わるのでしょうか?
紫陽花の色の変化が一番不思議でした。
こはゆ さん

みんなのひろば 質問コーナーのご利用ありがとうございます。

こはゆ さんが試された色水の作り方がよく分からないので正しい答えになっているかどうか判りませんが、ある程度想像してお答えします。
「色水は花びらと水を交ぜただけのものです」と書かれていますが、花びらはナイフかはさみなどで小さく切ったかどうか、植物材料の状態(形状)と量、混ぜた水の量は必要な情報なのです。
アサガオの花は大きいので小さく切り分けてから水と混ぜたかも知れませんが、アジサイ(花びらのように見えるのはがく片です)はがく片を指で挟んで引っ張り取り、そのまま水と混ぜたものとしてお答えします。水は水道水でしょうね。
アジサイもアサガオも花の色の素はアントシアニジンという植物ではふつうにある色素です。植物の中にあるときはこれに糖がついた配糖体(糖がついたものはアントシアニンと読んでいます)になっており、これに色はありませんが関連する構造を持つ物質が幾つか会合して安定化された状態で細胞内の液胞と言う袋の中にあります。ですから、細胞を壊さないと水の中に溶け出すことはありません。細かく花びらを切って水の中に入れれば、壊れた細胞から色素が水に溶け出すのです。組織の量と水の量が判りませんがアサガオの場合でもかなり薄い(希薄な)色水だと思われます。アントシアニン色素は溶け出すとかなり不安定で色が変わりやすいものです。特に酸性度(pHと言うのを聞いたことがありますか、酸性度を表すものでpHが小さいと酸性、大きいとアルカリ性をしめします)が変わると色も変わります。考えられることは色水には色素のほかにたくさんの細胞成分、特に有機酸なども溶け出していますから時間が経つと色水のpHが少し変わったかも知れません。
アジサイの場合は全く別のことがおきていた可能性があります。がく片を外したとき細胞が部分的に潰されて、細胞内の液がしみ出し色素は殆ど溶け出していないので肉眼では色が見えないかった。しかし、しみ出した液には細胞内には必ずあるポリフェノール類、アミノ酸類やポリフェノール酸化酵素が含まれているはずです。この酵素の働きでポリフェノール類が酸化され、酸化物がアミノ酸などと反応して薄黄色から茶色の重合物が生成されたものでしょう。例えばリンゴの切り口やバナナの皮に傷をつけておくと茶色~褐色に変化するのと同じような反応です。アジサイの場合は、希薄溶液の反応なので観察できるまでには時間がかかっていますね。
何度か同じような試みを試してみて下さい。その時には切った植物組織切片の量と水の量変えて、なるべく濃い色水が出来るように工夫して下さい。
関連する質問がこのコーナーにたくさんあります。特に登録番号5179, 3529, 4748, 1340, 1334は理解を深めるのに役に立つと思います。これ以外の関連項目(色水、アントシアニンなど)を検索して是非活用して下さい。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-08-30
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