質問者:
小学生
タイガ
登録番号5195
登録日:2021-08-11
自由研究で僕たち兄弟(小6・小3・小1)が育てている野菜のデンプン反応を調べました。キュウリやナスなどを2つに切ってヨウ素液を垂らすと種子の部分だけ反応しました。でも,オクラとゴーヤは種子の周りにある白いワタのような所も青紫色になりました。何度も同じように行ったり,種子を取り除いてからヨウ素液を垂らしてみたりしたのですが,オクラとゴーヤだけ反応します。オクラとゴーヤには,ほかの野菜と違う何かがあるのでしょうか。教えて下さい。
みんなのひろば
オクラとゴーヤのデンプン反応
タイガ君
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。兄弟3人で仲良く野菜を育てているのですね。野菜が毎日少しずつ大きくなっていくのを見るのは楽しみでしょう。
タイガ君はヨウ素の反応で野菜の中のどこにデンプンがあるかを調べようとしたのですね。まず最初に二つのことを理解しておきましょう。
第一にタイガ君が調べようとした野菜は植物のどの部分かというと、果実(カジツ)とその中の未熟な種子だということです。果実には色々の種類があります。リンゴ、バナナ、モモなどのようなものはクダモノと呼ばれますが、カボチャ、ナス、ゴーヤ、トマト、オクラ、キュウリ、インゲン、エダマメなどは野菜と呼ばれます。どちらも植物学では果実(カジツ)という器官です。だからタイガ君が野菜と呼んでいるのは(カジツ)です。カジツはその中で種子が大きくなっていく部屋です。そして、種子は次の世代となる植物の赤ん坊みたいな胚(ハイ)の入れ物です。そして完成した種子には完成した胚が眠っています。種子をまくと芽が出ますが、これは眠っていた胚がいよいよ成長を再開したことを意味します。
二つ目はデンプンのことです。デンプンは植物にとってどんな役割を持っているか。デンプンとはなんであるかと言うことです。6年生なら学校の授業では多分「光合成」のことを習いましたね。つまり植物は光合成で、日光(光)が当たると二酸化炭素と水とからデンプンを合成するということ。光合成のことは高学年になるともっと詳しく習うと思いますので、ここでは簡単に説明しておきます。光合成は葉の細胞にある 葉緑体(ヨウリョクタイ)の中で行われ、そこにある葉緑素という緑色の色素が必要です。光合成の結果最初に作られるのは、実はデンプンではなくてブドウ糖です。デンプンはブドウ糖が数百個から大きいものでは数十万個が鎖状につながった大きな分子(化合物)です。植物だけでなく生物にとってブドウ糖は細胞が色々な働きをするための元となる物質です。私たちがご飯やパンを食べるのは、その原料であるコメやコムギの種子がたくさんのデンプンを含んでいるからで、デンプンは身体の中で分解(消化)されてブドウ糖になり利用されるのです。つまりデンプンはブドウ糖が貯蔵されている状態なのです。葉では陽が当たっている間はどんどん光合成が行われますからどんどんブドウ糖が作られます。それを一次的にデンプンとして蓄えます。しかし、夜になると光合成は行われませんから、今度はそのデンプンが分解されて、ブドウ糖が二つ使われてショ糖という物質ができます。これは私たちが「砂糖」と呼んで食しているものです。ショ糖は植物体の中の管(ふるい管と言います)を通って体のあちこち、特に成長が盛んでブドウ糖が必要なところに輸送され、そこで再びブドウ糖になって利用されます。
タイガ君が使った野菜は果実としてはまだ完成の途中で未熟なものでしょう。勿論その中の種子も。だからそこへはどんどんショ糖が供給されてきます。使い切れないとおそらくもう一度デンプンにして一時貯蔵されるでしょう。未熟種子の中では胚が成長を続けていますので、そのためにブドウ糖は使われますが、種子が完成するときはその中にデンプンを蓄えておく必要があります。なぜなら、種子が発芽して芽生えが成長を始めても、緑の葉がたくさんできて光合成によって自分で十分栄養を補給できるまでは、貯蔵しているデンプンを使わなければならないからです。デンプンの他にタンパク質や脂肪も貯蔵されます。どれが多いかによって、イネやムギ類はデンプン種子、ダイズはタンパク質種子(トウフの原料です)、ゴマやピーナッツなどは脂肪種子と呼ばれます。したがって種子の中にデンプンが見つかるのはごく普通のことです。種子の周囲の柔らかい部分は果肉(カニク)と言いますが、そこにデンプンが出来るかどうかは植物の種類によっても違います。また、おそらく、果実の成長がどれだけ進んでいたかとか、1日のうち朝、昼、夜のいつ採取したか、採取してすぐ調べたかとかの条件によっても異なると思います。1種類の果実を成長の段階を追って採取して調べてみるとか、同じ成長段階の果実を朝、昼、夜と採取時期を変えて調べてみるとかすると、なにか変わった事が見つかるかもしれません。もちろん何も変わらないかもしれませんが。タイガ君の実験でオクラやゴーヤの果肉がヨウソ反応を示したのはなにか特別な理由があるわけではないと思います。
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。兄弟3人で仲良く野菜を育てているのですね。野菜が毎日少しずつ大きくなっていくのを見るのは楽しみでしょう。
タイガ君はヨウ素の反応で野菜の中のどこにデンプンがあるかを調べようとしたのですね。まず最初に二つのことを理解しておきましょう。
第一にタイガ君が調べようとした野菜は植物のどの部分かというと、果実(カジツ)とその中の未熟な種子だということです。果実には色々の種類があります。リンゴ、バナナ、モモなどのようなものはクダモノと呼ばれますが、カボチャ、ナス、ゴーヤ、トマト、オクラ、キュウリ、インゲン、エダマメなどは野菜と呼ばれます。どちらも植物学では果実(カジツ)という器官です。だからタイガ君が野菜と呼んでいるのは(カジツ)です。カジツはその中で種子が大きくなっていく部屋です。そして、種子は次の世代となる植物の赤ん坊みたいな胚(ハイ)の入れ物です。そして完成した種子には完成した胚が眠っています。種子をまくと芽が出ますが、これは眠っていた胚がいよいよ成長を再開したことを意味します。
二つ目はデンプンのことです。デンプンは植物にとってどんな役割を持っているか。デンプンとはなんであるかと言うことです。6年生なら学校の授業では多分「光合成」のことを習いましたね。つまり植物は光合成で、日光(光)が当たると二酸化炭素と水とからデンプンを合成するということ。光合成のことは高学年になるともっと詳しく習うと思いますので、ここでは簡単に説明しておきます。光合成は葉の細胞にある 葉緑体(ヨウリョクタイ)の中で行われ、そこにある葉緑素という緑色の色素が必要です。光合成の結果最初に作られるのは、実はデンプンではなくてブドウ糖です。デンプンはブドウ糖が数百個から大きいものでは数十万個が鎖状につながった大きな分子(化合物)です。植物だけでなく生物にとってブドウ糖は細胞が色々な働きをするための元となる物質です。私たちがご飯やパンを食べるのは、その原料であるコメやコムギの種子がたくさんのデンプンを含んでいるからで、デンプンは身体の中で分解(消化)されてブドウ糖になり利用されるのです。つまりデンプンはブドウ糖が貯蔵されている状態なのです。葉では陽が当たっている間はどんどん光合成が行われますからどんどんブドウ糖が作られます。それを一次的にデンプンとして蓄えます。しかし、夜になると光合成は行われませんから、今度はそのデンプンが分解されて、ブドウ糖が二つ使われてショ糖という物質ができます。これは私たちが「砂糖」と呼んで食しているものです。ショ糖は植物体の中の管(ふるい管と言います)を通って体のあちこち、特に成長が盛んでブドウ糖が必要なところに輸送され、そこで再びブドウ糖になって利用されます。
タイガ君が使った野菜は果実としてはまだ完成の途中で未熟なものでしょう。勿論その中の種子も。だからそこへはどんどんショ糖が供給されてきます。使い切れないとおそらくもう一度デンプンにして一時貯蔵されるでしょう。未熟種子の中では胚が成長を続けていますので、そのためにブドウ糖は使われますが、種子が完成するときはその中にデンプンを蓄えておく必要があります。なぜなら、種子が発芽して芽生えが成長を始めても、緑の葉がたくさんできて光合成によって自分で十分栄養を補給できるまでは、貯蔵しているデンプンを使わなければならないからです。デンプンの他にタンパク質や脂肪も貯蔵されます。どれが多いかによって、イネやムギ類はデンプン種子、ダイズはタンパク質種子(トウフの原料です)、ゴマやピーナッツなどは脂肪種子と呼ばれます。したがって種子の中にデンプンが見つかるのはごく普通のことです。種子の周囲の柔らかい部分は果肉(カニク)と言いますが、そこにデンプンが出来るかどうかは植物の種類によっても違います。また、おそらく、果実の成長がどれだけ進んでいたかとか、1日のうち朝、昼、夜のいつ採取したか、採取してすぐ調べたかとかの条件によっても異なると思います。1種類の果実を成長の段階を追って採取して調べてみるとか、同じ成長段階の果実を朝、昼、夜と採取時期を変えて調べてみるとかすると、なにか変わった事が見つかるかもしれません。もちろん何も変わらないかもしれませんが。タイガ君の実験でオクラやゴーヤの果肉がヨウソ反応を示したのはなにか特別な理由があるわけではないと思います。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-08-25