一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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側枝(主枝)の葉で作られた光合成産物は主枝(側枝)の実にも転流するのか。

質問者:   自営業   キーコ
登録番号5198   登録日:2021-08-14
こんにちは。転流については過去にもいくつか記事がありましたが、タイトルの内容については未だ不明でしたので質問させて下さい。

植物については基本的に仕組みは同じと考えますが、ここでは例としてカボチャで話を進めさせて下さい。

過去の記事【光合成産物の行方について】で、【トマトの場合、果実の下に位置する葉からの光合成産物に由来する。】とありました。下の葉から上の実への上方向の転流です。

また、記事【師管の物質輸送機構について】では、ソースとシンクの圧力差により、転流が起こるとあり、イモの場合は葉から下方向に転流が起こるとあります。

そこで本題ですが、例えばカボチャの場合、【主枝に着けた果実への光合成産物転流を考える時、側枝の葉から主枝への果実への移動は起こるのでしょうか。】
トマトの様に上方向の転流しか無いのか、それとも圧力差によって枝を下方向に転流し、主枝に入ってから上方向に移動するのか。

是非、ご回答よろしくお願いいたします。
キーコさん

みんなのひろば 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
まず確認させていただきます。トマトもカボチャもつる性の品種が主に使われていますので、栽培に当たって、1本仕立て、2本仕立て、3本仕立てなどを選択しています。そのために「主枝」「側枝」と表現されているものと推測しました。複数本仕立てでも成長生理の上では、それぞれは主枝に開花、着果するものと同じことです。つまり分かれた枝も主枝・葉・花の独立したセットです。1本仕立てでも立派に果実が成熟することでも判るように、別の枝(側枝とされている)からの光合成産物の転流は果実成熟には寄与していないことになります。しかし、各枝の栄養成長に別の枝からの栄養イオン類が全く寄与していないかどうかは判りません。カボチャは一年生
ですから恐らくこのような栄養イオンの移動はないとは思われます。
果樹などでは果実の成熟に寄与する葉はその下位数枚のようです。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-09-03