質問者:
一般
いち
登録番号5207
登録日:2021-08-22
近くの大家さんの家の壁にツタが張り付いて伸びています。葉の生える根元から棒が伸びてその先に緑の玉があります、壁にはこの緑の玉が張り付いているようです、気になったので玉に触ってみましたが粘り気はありません。数日後同じ球のところを見ると玉が壁に張り付いて、色が茶色っぽくかわっていました。1)この玉は一体何なのだろう? 2)玉はどうやって壁がそこにあると分かったのだろう? 3)何故玉は茶色く色が変わったのだろう?みんなのひろば
どのように蔦が壁に張り付くの?
つまり、ツタの玉が壁に張り付くのがどうやってくっつくの?
か知りたい、巻き付く訳ではないので、不思議です?
教えてください、
いち さん
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
同様の質問が登録番号2247, 3163にありますので、それをご覧下さい。それらに少しばかり補足します。
ツタ(ブドウ科)は障害物があれば這い上がる性質を持つ"つる植物"で落葉樹です。ご質問にある「玉」は葉の反対側に形成されるテンドリル(tendril、一種の巻きひげ、葉の変形したもの)の先端にあり、これが対象物に接着するので「吸盤」と言われていますが構造も働きも吸盤とは違い、むしろ接着盤とでも言うものです。接着盤から分泌される粘液物質が壁面との接着に関与しているとの解釈があります。さらに主幹に多数形成される気根の根毛が壁面の微細な孔に食い込み壁面との抵抗を増し、主幹を支えているようです。この点は似た性質をもつキヅタ(園芸品ヘデラ、ウコギ科、常緑樹)には接着盤はなく、多数の気根が密生し、その根毛が壁面の微少な孔に潜り込み、根毛先端から分泌された粘液物質で固定して主幹を支えていることでも理解出来るものです。壁面のような粗面でないガラス面や樹脂面があるとその部分は避けて這い上がることが観察されています(根毛が入り込む小孔がないため)。確かに、レンガ造りの建造物にツタが一面に這い上がっている場合でも窓の部分には張り付いていませんね。
ツタの接着盤や巻きひげは最初、緑色ですが次第に褐色になります。これは葉緑体が崩壊した後、主幹と同じようにリグニン形成、沈着がおきた結果と推定されます。
ごく簡単にまとめると、ツタでは接着盤でも気根でも根毛と壁面との間に物理的噛み合い構造が出来、かつ粘質物質で固定される、この固定は組織が乾燥しても噛み合い構造は崩れないので植物本体全体が壁面に接着し続ける、と言うことになると考えて良さそうです。物理的、機械的な噛み合い構造ができあがっていることになります。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
同様の質問が登録番号2247, 3163にありますので、それをご覧下さい。それらに少しばかり補足します。
ツタ(ブドウ科)は障害物があれば這い上がる性質を持つ"つる植物"で落葉樹です。ご質問にある「玉」は葉の反対側に形成されるテンドリル(tendril、一種の巻きひげ、葉の変形したもの)の先端にあり、これが対象物に接着するので「吸盤」と言われていますが構造も働きも吸盤とは違い、むしろ接着盤とでも言うものです。接着盤から分泌される粘液物質が壁面との接着に関与しているとの解釈があります。さらに主幹に多数形成される気根の根毛が壁面の微細な孔に食い込み壁面との抵抗を増し、主幹を支えているようです。この点は似た性質をもつキヅタ(園芸品ヘデラ、ウコギ科、常緑樹)には接着盤はなく、多数の気根が密生し、その根毛が壁面の微少な孔に潜り込み、根毛先端から分泌された粘液物質で固定して主幹を支えていることでも理解出来るものです。壁面のような粗面でないガラス面や樹脂面があるとその部分は避けて這い上がることが観察されています(根毛が入り込む小孔がないため)。確かに、レンガ造りの建造物にツタが一面に這い上がっている場合でも窓の部分には張り付いていませんね。
ツタの接着盤や巻きひげは最初、緑色ですが次第に褐色になります。これは葉緑体が崩壊した後、主幹と同じようにリグニン形成、沈着がおきた結果と推定されます。
ごく簡単にまとめると、ツタでは接着盤でも気根でも根毛と壁面との間に物理的噛み合い構造が出来、かつ粘質物質で固定される、この固定は組織が乾燥しても噛み合い構造は崩れないので植物本体全体が壁面に接着し続ける、と言うことになると考えて良さそうです。物理的、機械的な噛み合い構造ができあがっていることになります。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-09-10