質問者:
高校生
アガパンサス
登録番号5216
登録日:2021-08-30
ある本を読んで、植物の葉の形がどのような仕組みで決まるのかに興味を持ちました。そこから植物に関する幾つかの本を読んでいます。茎の高さ
そのうちの一つの本で、茎があることによって周りの植物よりも高い位置に葉をあげることができ、光が当たりやすいと知りました。
奇想天外の茎がほぼないのは周りが砂漠で他の植物に光を遮られない、ということだとわかりました。しかし例えば奇想天外のような茎の短い植物を他の茎の高い植物の間に植えた場合、茎が長くなったり、そもそも育たない、などということはあるのでしょうか?
アガパンサス様
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
植物の葉の形が決まる仕組みというのは、塚谷先生の研究でしょうか?面白い研究ですね。それ以後植物に関する本を幾つか読んでおられるとのことですが、書いてあることを知るだけでなく、いろいろ疑問をもたれたことは素晴らしいと思います。
ところで質問についてですが、質問の前文を読みますと、読まれた本は植物の適応進化に関する本ではないかと推察しました。茎のある利点は維管束植物への進化、奇想天外の茎の問題は砂漠という環境への適応進化が取り上げられてように思いました。そこで、先ず進化という視点で質問にお答えしますと、わからないということになります。地球環境が変化して砂漠に背の高い植物が進入してきたとした場合、茎を長くして新たな環境に適応し、生き残れるような突然変異が起きるかどうかは偶然によります。新たな環境に適応できず絶滅する可能性もあると思います。
一方、質問には、茎の長い植物の間に植えた場合と書かれていますので、長い期間かかる進化に関する質問ではなく、背の高い植物に囲まれて日陰になった場合の植物の反応についての質問かなとも思いました。この点については、奇想天外では実験するのは無理ですが、多くの植物で調べられています。背の高い植物が光合成によって赤色光を吸収しますので、その日陰になっている植物には赤色光/遠赤色の比が小さい光が到達します。この比が小さいと茎の伸長を促進することが多くの植物で知られています。伸長速度は植物によって差がありますが、伸長速度が高いほど生存に有利かといいますとそのようなことはありません。ノボロギク、シロザ、ヤナギランなど茎の成長速度が高い植物は耐陰性が低く、イラクサ属の植物、ミカヅキグサ属の植物、ヤマアイ属の植物など伸長速度の低い植物が耐陰性が高いことが知られています。茎を伸ばすことには物資の投入が必要です。そのため、葉の展開が犠牲になるためと考えられています。
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
植物の葉の形が決まる仕組みというのは、塚谷先生の研究でしょうか?面白い研究ですね。それ以後植物に関する本を幾つか読んでおられるとのことですが、書いてあることを知るだけでなく、いろいろ疑問をもたれたことは素晴らしいと思います。
ところで質問についてですが、質問の前文を読みますと、読まれた本は植物の適応進化に関する本ではないかと推察しました。茎のある利点は維管束植物への進化、奇想天外の茎の問題は砂漠という環境への適応進化が取り上げられてように思いました。そこで、先ず進化という視点で質問にお答えしますと、わからないということになります。地球環境が変化して砂漠に背の高い植物が進入してきたとした場合、茎を長くして新たな環境に適応し、生き残れるような突然変異が起きるかどうかは偶然によります。新たな環境に適応できず絶滅する可能性もあると思います。
一方、質問には、茎の長い植物の間に植えた場合と書かれていますので、長い期間かかる進化に関する質問ではなく、背の高い植物に囲まれて日陰になった場合の植物の反応についての質問かなとも思いました。この点については、奇想天外では実験するのは無理ですが、多くの植物で調べられています。背の高い植物が光合成によって赤色光を吸収しますので、その日陰になっている植物には赤色光/遠赤色の比が小さい光が到達します。この比が小さいと茎の伸長を促進することが多くの植物で知られています。伸長速度は植物によって差がありますが、伸長速度が高いほど生存に有利かといいますとそのようなことはありません。ノボロギク、シロザ、ヤナギランなど茎の成長速度が高い植物は耐陰性が低く、イラクサ属の植物、ミカヅキグサ属の植物、ヤマアイ属の植物など伸長速度の低い植物が耐陰性が高いことが知られています。茎を伸ばすことには物資の投入が必要です。そのため、葉の展開が犠牲になるためと考えられています。
庄野 邦彦(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-09-22