一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

チェックリストに保存

家庭菜園のピーマンで、緑色の実と赤色の実が同時にあるのはどうしてですか?

質問者:   小学生   みれい
登録番号5217   登録日:2021-08-31
ベランダのプランターでピーマンを育てました。

初めは緑色のピーマンがたくさんなって、収穫しました。
ですが、収穫期の後半は、赤いピーマンがなるようになってきました。

赤いのを食べてみたら甘くておいしかったです。

でも、赤い実と緑色の実が隣同士でついているのはどうしてですか?
まるで、別々の種類のピーマンみたいです。

熟すと赤くなると父が教えてくれたのですが、
それだと順番は、
実ができる ⇒ 大きくなる ⇒ 熟す
ではないのですか?
赤いピーマンは、緑のピーマンよりも、小さいように思います。
みれい さん

みんなのひろば 植物Q&Aへようこそ。質問を歓迎します。
蔬菜花卉について専門に研究されている、片岡圭子博士(愛媛大学大学院農学研究科、教授)に回答をお願いしました。

【片岡先生の回答】
ピーマンは花数が多く、大抵はソース葉(光合成をして、その産物を果実や貯蔵器官などに送り出す葉)の能力が全体の収量を決めているようです。そのため完熟まで待って収穫するパプリカでは、果実数を制限して大きな果実を生産しています。未熟で収穫するピーマンでは、サイズをもとにどんどん収穫していくので、あまり果実間競合は起きませんが、一部に赤く熟するまでならせておいた果実があると、そちらの負担で次の果実が落果することも起きます。
 さて、ピーマンについて、「小さい果実のほうが赤くなるのが早い」ということに気が付いたことは、とても注意深い観察です。しかし、このような現象は、ピーマンについて必ずしも一般的ではありません。「緑の果実のほうが大きい」という観察は、「その大きい緑の果実もそのままにしておけば赤くなること」、「果実の最終的な大きさは、生育途中の条件によって変わること」から考えますと、「ある時期に、たまたまそのように見える」と言うことだと思います。
なお、尻ぐされなどの生理障害が起きる場合も早く赤くなりますし、果実の中の種子も関係すると思います。種子数が少なくほとんど単為結果したような果実は小さく、少し早く赤くなることはあるかもしれません(確かめてはいませんが)。また、「赤い果実」は「緑の果実」に比べて、開花が早い時期だったという可能性も考えられます。秋に向かって温度が下がっていくこの時期では、たまたま、果実肥大期に「赤い果実」は温度が高すぎて大きくなれなかったが、「緑の果実」は果実肥大期に温度が下がってちょうど良くなり大きくなれた、という可能性も考えられます。
結論として、「1本の苗に、緑のピーマンと赤のピーマンの両方がついているとき、赤いピーマンの方が小ぶりだ」という観察は、「たまたまそのように見える時期に観察した」のであって、逆の場合も起こりうるのではないかと思います。おそらく赤い果実の開花は緑の果実の開花よりも早かったものと考えられます。
片岡 圭子(愛媛大学大学院農学研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2021-09-24
植物 Q&A 検索
Facebook注目度ランキング
チェックリスト
前に見たQ&A
入会案内