質問者:
その他
ふしぎらん
登録番号5231
登録日:2021-09-16
ソメイヨシノの落ち葉に,緑の線で輪をいくつか書いた葉がありました。みんなのひろば
桜の落ち葉に緑の模様
輪の大きさや位置には,規則性がありません。
このような葉を同じ場所で数枚集めましたが,共通性が見られません。
質問;どのようにして緑の輪ができたのでしょうか?
文章だけでは分かりにくいので,写真情報を追加させていただきます。
https://www.facebook.com/photo/?fbid=4373763002707036&set=a.178781568871888&
ふしぎらん様
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
回答は植物病理学がご専門の前島健作先生にお願いいたしました。
【前島先生の回答】
結論から言えばわからないのですが、ウイルス性の症状にとてもよく似ているという印象です。理由としては、ほとんどの緑色のリングの中央に維管束が通っているためです。ウイルスは維管束の篩部を通じて植物の全身に移行するのですが、葉において、篩部から葉の細胞へ感染拡大するときに、こういった症状を呈することがあります。
ただ、ウイルスによる一般的な症状では、リング部分の緑色が薄くなりますので、今回のようにリング部分で緑色が濃いというのは真逆の症状のように思われ、興味深いです。落ち葉ということなので、春や夏は別の見え方をするのかもしれません。
可能でしたら、同じ樹について春先から継続的に観察してみてください。この模様がいつ頃から出てどのように変わっていくのか、樹の一部で出るのか全身で出るのか、近くの樹ではどうなのか、などわかってくれば、もう少しヒントが得られると思います。
明快な回答ができず申し訳ないですが、現状でお答えできることはこの程度です。もっと詳しいことをご存知の先生がいらっしゃれば、ぜひご指摘やコメントを頂けると幸いです。
なお、国内で発生が確認された植物の病気は、日本植物病理学会の日本植物病名目録に記載されて、以下のデータベースにも記載されることになっております。
https://www.gene.affrc.go.jp/databases-micro_pl_diseases.php
サクラ類のウイルス病については今回のような症状に該当する記載は見当たらないようでしたので、上記のような回答にさせていただきました。
まだはっきりしたことはわかっていない現象のようです。前島先生が提案されておられる観察をされると、もう少し何かわかってくるかもしれません。草本植物文献を探してみたのですがみつけられませんでした。また、植物葉の老化を研究されておられる北海道大学低温研の小野清美先生にもお尋ねしましたが、はっきりしたことはわからないというお答えでした。小野先生は、ふしぎらんさんのFacebookページリンク先のコメント欄で引用されている論文の著者(低温研の田中亮一先生)の研究グループの方にも聞いて下さったとのことですが、やはりわからないという返事だったそうです。
私もさっそく同様な症状を示す落ち葉を探してみました。サクラの他、サクラと同様な原因かはわかりませんが、カキの落ち葉で中央の褐色部分を囲む緑色リングをもつものがありました。また、東京にある女子栄養短大の構内で落ち葉に黒褐色のリングと黒褐色の部分と緑色の部分が混じったリングをもつ落ち葉の写真を当大学の牧 久恵先生が送って下さいました。
緑色が黒褐色に変わっていくようにも見えます。私は神奈川在住ですので、かなり広い地域で観察される症状のようです。
植物Q&Aのコーナーを利用下さりありがとうございます。
回答は植物病理学がご専門の前島健作先生にお願いいたしました。
【前島先生の回答】
結論から言えばわからないのですが、ウイルス性の症状にとてもよく似ているという印象です。理由としては、ほとんどの緑色のリングの中央に維管束が通っているためです。ウイルスは維管束の篩部を通じて植物の全身に移行するのですが、葉において、篩部から葉の細胞へ感染拡大するときに、こういった症状を呈することがあります。
ただ、ウイルスによる一般的な症状では、リング部分の緑色が薄くなりますので、今回のようにリング部分で緑色が濃いというのは真逆の症状のように思われ、興味深いです。落ち葉ということなので、春や夏は別の見え方をするのかもしれません。
可能でしたら、同じ樹について春先から継続的に観察してみてください。この模様がいつ頃から出てどのように変わっていくのか、樹の一部で出るのか全身で出るのか、近くの樹ではどうなのか、などわかってくれば、もう少しヒントが得られると思います。
明快な回答ができず申し訳ないですが、現状でお答えできることはこの程度です。もっと詳しいことをご存知の先生がいらっしゃれば、ぜひご指摘やコメントを頂けると幸いです。
なお、国内で発生が確認された植物の病気は、日本植物病理学会の日本植物病名目録に記載されて、以下のデータベースにも記載されることになっております。
https://www.gene.affrc.go.jp/databases-micro_pl_diseases.php
サクラ類のウイルス病については今回のような症状に該当する記載は見当たらないようでしたので、上記のような回答にさせていただきました。
まだはっきりしたことはわかっていない現象のようです。前島先生が提案されておられる観察をされると、もう少し何かわかってくるかもしれません。草本植物文献を探してみたのですがみつけられませんでした。また、植物葉の老化を研究されておられる北海道大学低温研の小野清美先生にもお尋ねしましたが、はっきりしたことはわからないというお答えでした。小野先生は、ふしぎらんさんのFacebookページリンク先のコメント欄で引用されている論文の著者(低温研の田中亮一先生)の研究グループの方にも聞いて下さったとのことですが、やはりわからないという返事だったそうです。
私もさっそく同様な症状を示す落ち葉を探してみました。サクラの他、サクラと同様な原因かはわかりませんが、カキの落ち葉で中央の褐色部分を囲む緑色リングをもつものがありました。また、東京にある女子栄養短大の構内で落ち葉に黒褐色のリングと黒褐色の部分と緑色の部分が混じったリングをもつ落ち葉の写真を当大学の牧 久恵先生が送って下さいました。
緑色が黒褐色に変わっていくようにも見えます。私は神奈川在住ですので、かなり広い地域で観察される症状のようです。
前島 健作(東京大学大学院農学生命科学研究科植物病理学研究室)
JSPPサイエンスアドバイザー
庄野 邦彦
回答日:2021-12-02
庄野 邦彦
回答日:2021-12-02