一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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タマネギの表皮について

質問者:   教員   木村芳徳
登録番号0525   登録日:2006-02-17
私立高校の入試問題で次のような設問と解答がありました。

細胞が分裂している様子は、AとBのどこで観察できるか。次のア〜ウから1つ選び記号で答えなさい。

ア AとBの両方で観察できる。
イ Aだけで観察できる。
ウ Bだけで観察できる。

解答 ウ
Aはタマネギの鱗片の内側の表皮、Bは水に浸してあるタマネギの根の先端の図です。

質問です。タマネギの鱗片の表皮の細胞は分裂しないのでしょうか?
木村芳徳さま

 みんなの広場へのご質問有難うございました。担当の柴岡と申します。タマネギは20年ほど昔に研究材料として使ったことがありますので、余計なことまでお話しします。ご存知と思いますが、今、畑に行ってもタマネギは膨らんでいません。普通のネギと同じような形をしています。これから日長が長くなると膨らむのです。これはタマネギの葉鞘の基部の表皮以外の細胞が膨らむことによって起きるのですが、この時、外側の表皮細胞はあまり膨らまず。細胞分裂を続けることによって表面積を増やしています。ご質問の内側の表皮ですが、分裂も容積増大もいたしません。その結果、内側の表皮と内部の組織のあいだに歪みが生じ、内側の表皮は内部の組織から離れてしまうのです。ただ、その葉のさらに内側にある葉の葉鞘も膨らむので、それに押されて、内側の表皮は辛うじて内部の組織にへばりついているのです。タマネギの内側の表皮が剥がれ易いのはそうしたことによるものです。ご質問の答えですが、内側の表皮細胞は、タマネギが膨らみ始める頃から細胞分裂を行っていません。
JSPPサイエンスアドバイザー
 柴岡 弘郎
回答日:2006-02-19
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