質問者:
その他
ミミ
登録番号5263
登録日:2021-11-02
この前テレビの「所でナンじゃこりゃ!?」という9/10に放送された番組でメキシコのセノーテという4色に地下水の水が変わる地底湖の特集をしていました。みんなのひろば
植物の根のタンニン濃度について
地底湖の水の色は赤、黄、緑、青に変わるらしく植物の根からタンニンが溶け出し、その濃度の違いで水の色が変わるそうです。
番組では簡単な説明しかなされていなかったのですが、これは例えばそれぞれ1ℓの水に対してどのくらいの根が、タンニンが溶け出していれば水の色が変わるのでしょうか?また根が溶け出してからの年数経過なども必要なのでしょうか?
具体的な数値が知りたいです。
https://www.dailymotion.com/video/x843awx
(動画のURLを添付しておきます。28分からメキシコのセノーテを扱っています。)
お返事お待ちしております。よろしくお願いいたします。
ミミさん
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
お送りいただいたURLのサイトは始めのうちを1度見て、長すぎるので後でゆっくり見ようと試しましたが、「削除されました」とのメッセージが出て2度と見ることが出来ず参考にできませんでした。ご質問の主旨は分かりましたので「水の色」「河川の色」についての資料を調べました。水路や沼沢地の水が「透明な褐色」となっている米フロリダ州南部にあるEverglades国立公園に関する資料ですが、何れも色は「タンニン」によるもので、植物の根からの分泌物、枯死した植物体の分解物などが起源だとの説明があるだけで、ミミさんがお知りになりたいタンニンの濃度などを記載した水質分析の結果は見つかりませんでした。
そこで、紅茶の色もタンニンですので、その分析結果を調べました。紅茶は茶葉を発酵させたときに着色します。紅茶の色物質はカテキン、エピカテキンというポリフェノール類などが発酵過程で酸化重合して形成される赤色、水溶性のタンニンです。普通に飲む紅茶ではタンニン37mg/100mlとありました、色の具合などから想像しても、おそらくこの程度前後の濃度ではないでしょうか。
「また根が溶け出してからの年数経過なども必要なのでしょうか?」については、根からの滲出物、死んだ植物組織の分解物のことだと思います。アメリカの河川の水質はいろいろあって、含まれる金属イオンの種類、浮遊微粒子の量、pHなどで幾つかに区分されており、着色しているものについては、可溶性着色有機物(Colored Dissolved Organic Matter、CDOM)の1つとしてタンニンが含まれること、地質年代的時間を経て形成されて水に流れ込み、堆積物層などで濾過されてきたものが現在の河川水となったものと解説されています。上に述べたEvergladesの例では、その北側数十キロメートルにある大きな浅い淡水湖の水が溢れだし、南へ幅の広い表層流となり、1日に数百メートルと言った遅い流速で湿地帯を流れる間に、数千年以上かけて形成されていた植物起源のタンニン類などが溶け込んだものと言われています。
水の色(反射して目に達する光の波長)の変化は、水に差し込む光の角度による波長分布の違いによって少しずつ変わることが影響するのではないかと思います。朝、昼、夕では太陽光が通過する空気層(水分、浮遊微粒子などもあります)の厚さが異なるため差し込む光の質(波長組成)が変わるのに加えて、セノートに溜まっている水のCDOMや浮遊微粒子の影響で目に見る水の色は時間とともに変化するのかも知れません。
これらの点については専門外ですので的確な説明ではないかもしれません。
みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
お送りいただいたURLのサイトは始めのうちを1度見て、長すぎるので後でゆっくり見ようと試しましたが、「削除されました」とのメッセージが出て2度と見ることが出来ず参考にできませんでした。ご質問の主旨は分かりましたので「水の色」「河川の色」についての資料を調べました。水路や沼沢地の水が「透明な褐色」となっている米フロリダ州南部にあるEverglades国立公園に関する資料ですが、何れも色は「タンニン」によるもので、植物の根からの分泌物、枯死した植物体の分解物などが起源だとの説明があるだけで、ミミさんがお知りになりたいタンニンの濃度などを記載した水質分析の結果は見つかりませんでした。
そこで、紅茶の色もタンニンですので、その分析結果を調べました。紅茶は茶葉を発酵させたときに着色します。紅茶の色物質はカテキン、エピカテキンというポリフェノール類などが発酵過程で酸化重合して形成される赤色、水溶性のタンニンです。普通に飲む紅茶ではタンニン37mg/100mlとありました、色の具合などから想像しても、おそらくこの程度前後の濃度ではないでしょうか。
「また根が溶け出してからの年数経過なども必要なのでしょうか?」については、根からの滲出物、死んだ植物組織の分解物のことだと思います。アメリカの河川の水質はいろいろあって、含まれる金属イオンの種類、浮遊微粒子の量、pHなどで幾つかに区分されており、着色しているものについては、可溶性着色有機物(Colored Dissolved Organic Matter、CDOM)の1つとしてタンニンが含まれること、地質年代的時間を経て形成されて水に流れ込み、堆積物層などで濾過されてきたものが現在の河川水となったものと解説されています。上に述べたEvergladesの例では、その北側数十キロメートルにある大きな浅い淡水湖の水が溢れだし、南へ幅の広い表層流となり、1日に数百メートルと言った遅い流速で湿地帯を流れる間に、数千年以上かけて形成されていた植物起源のタンニン類などが溶け込んだものと言われています。
水の色(反射して目に達する光の波長)の変化は、水に差し込む光の角度による波長分布の違いによって少しずつ変わることが影響するのではないかと思います。朝、昼、夕では太陽光が通過する空気層(水分、浮遊微粒子などもあります)の厚さが異なるため差し込む光の質(波長組成)が変わるのに加えて、セノートに溜まっている水のCDOMや浮遊微粒子の影響で目に見る水の色は時間とともに変化するのかも知れません。
これらの点については専門外ですので的確な説明ではないかもしれません。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-12-13