一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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読み方(N・P・K)について 

質問者:   会社員   √ 
登録番号5278   登録日:2021-11-17
本やインターネットを見ていると、
N窒素Pリン酸Kカリという読み方が一般的ですが、なぜこのような読み方をするのでしょうか。
Nの窒素はわかりますが、Pはリン、Kはカリウムではないのでしょうか。
リン酸ならばP2O5ではないのでしょうか。
ただの略語と解釈したらよいですか。
√ 様

ご質問、有り難うございます。
以下、回答致します。
化学的には、ご指摘の通りNは窒素、Pはリン、Kはカリウム(英語ではポタシウムと言います)。日本の農業・園芸分野では、窒素・リン酸・カリが使われていますが、これは肥料関係の業界用語が一般化したものと考えられます。N、P、Kは、肥料の三要素として植物の成長や収量に大きく影響しますので、施肥する主な要素としてこれらの用語が定着してきたものと思われます。植物栄養学の分野では、Pはリンあるいはリン酸が用いられますが、Nは窒素、Kはカリウムで、略語であるカリは使いません。リン酸は、リン鉱石から強酸で抽出できる可溶性リン酸塩類から、植物に吸収されるリン酸塩を調整することから、特に農業分野ではこの用語が使われてきました。
なお、植物に吸収されるリン酸の主な形態はリン酸二水素イオン(H2PO4-)ですが、施肥される多くのリン酸は、土壌中のアルミニウムや鉄と結合して難溶性の塩を形成するために、多量に施肥する必要があります。またカリウムは、プラス荷電のイオンの性質上、容易に水とともに溶脱するため、多量に施肥します。植物が利用できる窒素の形態は、マメ科以外の作物の場合、畑地では硝酸イオン(NO3-)、水田ではアンモニウムイオン(NH4+)です。施肥の際は尿素も用いられますが、土壌細菌の作用で、いずれかの形態に変化後に植物に吸収されます。

なお、P2O5は、Pを空気中あるいは酸素中で燃焼させて生成される昇華性の酸化物で、これを水に溶解して出来るのがリン酸です。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-02-07
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