質問者:
大学院生
なないろ
登録番号5282
登録日:2021-11-20
私は、1年中、鼻の症状で悩んでいます。みんなのひろば
スギ・ヒノキ花粉の寿命はいつまでですか?
耳鼻科の先生に、「飛んできた花粉が、私が住んでいるあたりに、風が流れずとどまっているので、どの季節でも、スギやヒノキなどの春の花粉の花粉症になる」と言われました。
春頃に出た花粉がそんなに残るものなのか分からず、気になってしまいました。
そもそも、飛んできたスギやヒノキの花粉の寿命というのはいつまであるものなのでしょうか?
春頃に飛んできた花粉が、夏や秋まで影響を及ぼすものなのでしょうか?
教えていただきたいです。よろしくお願いします。
なないろ様
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。花粉症でお悩みのようですね。実は私も50年以上前から花粉症に悩まされています。主たる花粉は春のスギですが、最近はほかの季節の別の花粉も影響しています。なないろさんが一年中悩んでおられるとすれば、スギ・ヒノキだけが原因ではないかもしれませんね。
さて、花粉の寿命ということですが、生物学的にいえば花粉が発芽能力を失わない、つまり花粉細胞が生きている期間ということになります。花粉の寿命は植物の種類によっては勿論のこと、保存状態で大きく変わります。この問題については本コーナーの登録番号736をお読み下さい。
花粉症の原因となるのは生きている花粉それ自体ではなく、花粉症は花粉に含まれる物質によって引き起こされるアレルギー反応です。従って花粉には寿命はあるが、花粉症の原因となることには定まって期限はありません。自然界で花粉が地表に落ち、バクテリアやカビなどでこれらの物質が分解されてしまえば花粉症を引き起こす原因とはならないでしょう。
花粉アレルギーとなる物質についてはいくつかの研究報告があります。スギ花粉については、主要なものとして Cryj1, Cryi2, Cryj3というタンパク質が知られています。Cryjという記号はスギの学名Cryptomeria japonica に由来します。これらの物質(糖タンパク質)が抗原(アレルゲン)となって身体の粘膜組織(鼻、目、喉、その他)に存在する免疫細胞で捕捉され、その抗原に対する抗体がつくられ、異物である抗原を排除しようとします。その時にみられる反応(症状)が花粉症です。Cryjタンパク質は酵素タンパクで、Cryj1とCryj2 は細胞壁構成成分のペクチンの分解に関わっている酵素です。Cryj1は花粉の表面にある金平糖状のオービクル(ユービッシュ体)という0.4μmほどの微粒子に局在し、Cryj2は花粉内のデンプン粒や色素体の中に局在しています。
花粉アレルギー反応のメカニズムついてはWeb上でもいくつかの記事がありますので参照(*)して下さい。
(*)ひとつだけ例を挙げておきます。
王 青躍 「呼吸臨床 第1巻1号(10月)」スギ花粉症:スギ花粉の主なアレルゲン(Cryj1 とCryj2)と都市部空中の挙動
質問コーナーへようこそ。歓迎いたします。花粉症でお悩みのようですね。実は私も50年以上前から花粉症に悩まされています。主たる花粉は春のスギですが、最近はほかの季節の別の花粉も影響しています。なないろさんが一年中悩んでおられるとすれば、スギ・ヒノキだけが原因ではないかもしれませんね。
さて、花粉の寿命ということですが、生物学的にいえば花粉が発芽能力を失わない、つまり花粉細胞が生きている期間ということになります。花粉の寿命は植物の種類によっては勿論のこと、保存状態で大きく変わります。この問題については本コーナーの登録番号736をお読み下さい。
花粉症の原因となるのは生きている花粉それ自体ではなく、花粉症は花粉に含まれる物質によって引き起こされるアレルギー反応です。従って花粉には寿命はあるが、花粉症の原因となることには定まって期限はありません。自然界で花粉が地表に落ち、バクテリアやカビなどでこれらの物質が分解されてしまえば花粉症を引き起こす原因とはならないでしょう。
花粉アレルギーとなる物質についてはいくつかの研究報告があります。スギ花粉については、主要なものとして Cryj1, Cryi2, Cryj3というタンパク質が知られています。Cryjという記号はスギの学名Cryptomeria japonica に由来します。これらの物質(糖タンパク質)が抗原(アレルゲン)となって身体の粘膜組織(鼻、目、喉、その他)に存在する免疫細胞で捕捉され、その抗原に対する抗体がつくられ、異物である抗原を排除しようとします。その時にみられる反応(症状)が花粉症です。Cryjタンパク質は酵素タンパクで、Cryj1とCryj2 は細胞壁構成成分のペクチンの分解に関わっている酵素です。Cryj1は花粉の表面にある金平糖状のオービクル(ユービッシュ体)という0.4μmほどの微粒子に局在し、Cryj2は花粉内のデンプン粒や色素体の中に局在しています。
花粉アレルギー反応のメカニズムついてはWeb上でもいくつかの記事がありますので参照(*)して下さい。
(*)ひとつだけ例を挙げておきます。
王 青躍 「呼吸臨床 第1巻1号(10月)」スギ花粉症:スギ花粉の主なアレルゲン(Cryj1 とCryj2)と都市部空中の挙動
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-12-24