イチョウ並木樣

質問コーナーへようこそ。歓迎致します。ご質問の満開という言葉は植物学用語ではなく一般の用語で、植物の個体に形成された花芽が成長し、その殆ど全部が開花する状況を表現する言葉です。つまり花弁が開くことを指します。花弁がある花が形成されるのは被子植物だけです。ご質問のイチョウは裸子植物で、マツ、スギなどのような他の裸子植物と同じように、一般に花と呼ばれている器官（＊）には花弁も萼もありません。イチョウは雌雄異株で、いわゆる雄花は花粉嚢（のう）が房状についた形をしています。いわゆる雌花は柄の先端に胚珠がむき出しでついています。どちらの花も春に葉と一緒に現れます。被子植物では開花（花弁が開く）する時は、雄しべは花粉を放出し、雌しべは受粉の体制がととのっている時です。裸子植物では開花と呼ばれる現象はないのですが、やはり花粉嚢から花粉が放出される時と胚珠の受粉体制が整う時は並行しています。この時期が開花に相当すると言っていいのかもしれません。この時期は大体４〜５月です。生育場所、個体によっても差はあると思います。そして実際に受精が起きるのは９月頃です。イチョウの受粉／受精については本コーナーの登録番号5257を読んで下さい。
一本のイチョウの樹で雄株にしろ雌株にしろほとんどの「花」が一斉に生殖活動に入るかどうかは知りませんが、５〜６月頃にこれらの花を観察されてどの花も同じ状態ならば、満開に相当する現象が起きてるいるのでしょう。胚珠の方は受粉体制が整っているかどうかを見極めるのは大変かもしれませんが、花粉の飛散は分かりやすいと思います。花粉が飛散した後は空の花粉嚢（雄花）が地面に落下して絨毯のように広がります。
＊植物学上で花（flower）は被子植物の生殖器官を指します。