一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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毛状根培養の毛状根は人為的な遺伝子組み換え体?

質問者:   会社員   一般 Hi
登録番号5291   登録日:2021-11-30
こちらで取り上げられている質問と回答のやり取りが興味深く、時々拝見しております。

登録番号3443で取り上げられていた「毛状根の定義について」を読んでいて質問してみたくなりました。

おそらく大学などでは人為的に毛根病菌Agrobacterium rhizogenes(野生型の基準株?)を感染させてRiプラスミドT-DNAを植物の染色体に組み込ませてできた毛状根を使用しているのだと思いますが、この場合の毛状根は自然環境でAgrobacterium rhizogenesが植物に感染してできた毛状根と同一の扱いになるのでしょうか?

結果としてはどちらも同じものと思えるのですが、「人の手」が加わることで解釈が異なったりはしないのだろうかと思い質問させていただきました。

回答よろしくお願いいたします。
一般 Hi様

Q&Aコーナーへようこそ。歓迎いたします。自然状態でRhizobiumが植物に感染して毛状根(不定根)ができる場合、それは自然の遺伝子組換えと言って良いでしょう。毛根は不定根の密集的形成ですから、植物ホルモンのオーキシンの過剰な働きによるものです。ただ、不定根形成は宿主に新しく付与された機能ではありません。しかし、余計な外来遺伝子が組み込まれたという点では、遺伝子組換えに相当します。遺伝子組換えで出来た全ての植物(組織、器官)から再生する同じ形状・機能を持つ植物はやはり組換え体と見なされます。

ご存知かと思いますが、外来遺伝子を人為的に導入する一つの方法はベクターと呼ばれる目的の遺伝子の運搬体を使うことです。 Agrobacterium のTi-プラスミドや Rhizobium の Riプラスミドはベクターとして使われてきました(登録番号4174を読んで下さい)。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-03-21
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