一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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食用にできるスプラウトとは

質問者:   大学生   ふすま
登録番号5295   登録日:2021-12-06
いつも植物Q&A、楽しく拝見しております。

種子から発芽させた芽を食用とするスプラウトは、今ではブロッコリーやレッドキャベツなど多くの種類が存在し販売されています。
そこで質問なのですが、スプラウトが出来たとしてそれを食用として販売することが難しいのでしょうか?
それとも、そもそも発芽できる種子の種類が限られているのでしょうか?
スプラウトの種類が、私が知っている限りでは穀類、豆類、野菜の種子と幅広い割には流通されている種類が少ない気がして疑問をいだきました。また、どんな種子であればスプラウトが出来やすいのかもご教授いただければ幸いです。
ふすま 様

この質問コーナーに関心をお持ちくださりありがとうございます。
種子や根などから育つ新芽(スプラウト、sprout)は、生命活動が盛んな組織ですので、ビタミンなどの栄養分を多く含んでいるのが一般的です。スプラウトの育成は、生長のためのエネルギーの視点からは、種子などに貯えられた栄養分をエネルギー源に暗黒下で行う場合と、明所で光合成によって緑色の植物体として育てる場合(もちろん、両者の併用も)があります。工夫の仕方によっては、いろいろな植物のスプラウトを育てることが容易に可能だと思います。実際、園芸店のHP上のカタログを見るとかなり多くの種類の植物のスプラウトが販売されているように見受けられます(しかし、身近なマーケットでは限られたものしか販売されていないのが実情かと思います)。いろいろな要素があるので、育てたスプラウトが食用として魅力的なものであるかどうかは試してみないと分からないと思います。

スプラウトを食用に供する際に問題となる点は、若芽が虫害などからの防御のために蓄積していると思われるアルカロイドなどの有毒成分(アクなど)のことだと思います。たとえば、ジャガイモのスプラウトにはソラニンなどのアルカロイドが含まれるので食用には勧められません。一度に食する量の問題もあるかと思います。販売できるかどうかに関しては、法律的には「食品衛生法」の規制をクリアーする必要があるでしょう。
佐藤 公行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2021-12-23