一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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そら豆の苗に色が付きません

質問者:   公務員   大原平太
登録番号5296   登録日:2021-12-06
 知人が播種した家庭菜園のそら豆の苗が緑色にならず黄ニラのような色になりました。100粒のうち7割ほど発芽し、そのうち3株だけが黄色です。よく見ると葉身の付け根や葉先にかすかに緑色になっている部分もあります。昨年も1株だけ黄色になったものがあり、それは大きくならず枯れていったそうです。今年の種子は昨年のそら豆から採種したものだそうです。
 このように、茎葉が白くなくとも、かすかに葉緑体があってもアルビノというのでしょうか?
 まもなく処分しようと思いますが、捨てる前に、やっておけばいい何かおもしろい実験はあるでしょうか?
大原平太 様

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。ご質問には植物のアルビノについてお詳しい岡山大学の坂本 亘先生から下記の回答文を頂戴しました。参考になさって下さい。

【坂本先生からの回答】
ソラマメを播いたら黄色の個体が出た、ということですが、質問で一つ気になったのが、発芽があまり良くないことです。一般に、マメ科の植物は発芽時の水分量が難しくて酸欠になりやすく、播種前には浸水しない方がよいとも言います。7割なら問題ないですが、水をあげすぎないように気をつけて育てるといいかもしれませんね。黄色い苗が出てくるのも、この影響で最初の生育が悪くなってしまい、根が発達しないと光合成ができなくなったのかもしれません。枯れてしまう前に何か実験を、ということですが、緑の苗に接木(挿し芽)してみたらどうでしょう、復活するかもしれません。うまくいくかはわかりませんので、悪しからず。

このように、大原さんが観察されたものは遺伝的に変異が起きたというよりは、生理的に植物が不全になったようです。アルビノは、突然変異で葉緑素ができない白い個体を指すことが多いので、ご覧になった株はアルビノとは少し違うようです。ちなみに、アルビノや黄色くなった株には葉緑体がない、というのは微妙な言い方で、光合成をする葉緑体はないのですが、葉緑体になり損ねた器官は細胞の中に残っています。そうすると、日照や温度、養分など条件が整うと、カンアオイとかハンゲショウのように、黄色や白いところから緑の葉が出てくることもあります。
坂本 亘(岡山大学資源植物科学研究所)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2021-12-28
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