一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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ホテイアオイのロゼットについて

質問者:   高校生   久保
登録番号5303   登録日:2021-12-16
家で育てているホテイアオイが浮き袋と葉を水面ギリギリにつけて越冬しています。タンポポなどではロゼットといって、葉を地面に広げると小学校で習ったですが、南米が原産で日本に持ち込まれたホテイアオイもロゼットになることがあるのでしょうか?また、そうだとしたらロゼットというのは遺伝的なものではなく環境に応じてなるものなのかどうかも知りたいです。よろしくお願いします。
久保 さん

みんなの広場 質問コーナーのご利用ありがとうございます。
ホテイアオイの花は綺麗ですね。私もかつてメダカを飼っていたことがあり、ホテイアオイを産卵場として使っていました。南米原産とは言うものの日本、特に関東より南部地域では越冬することは稀ではないようです。
さてロゼット(状)は、葉が短い茎に一見したところ輪生状に出た状態を指します。これは短い茎でも節があり、葉は各節から一定の葉序で形成されるからです。陸上ではタンポポ、オオバコ、ダイコンなど根が土壌の中にしっかりと食い込み、地表すれすれに短い茎がありそれに葉が一定の葉序で形成するので、地上部の葉がロゼット状態となります。ホテイアオイを見てみると茎は短く、長い葉柄を持つ葉が茎に輪生状についています。ホテイアオイは一種の浮き草で葉柄の基部は膨大して浮きの役目を果たしている上、成長が旺盛なためタンポポのようなロゼットとは違うように見えますが、立派なロゼットと言えます。ですから、ロゼットになるのは遺伝形質です。環境に応じて、ロゼットを形成したり、しなかったりすることはありません。時期が来ると短い茎の茎頂から花茎を出して先端部に総状花序を咲かせます。花芽形成、開花の時期は環境条件の影響を受けます。花茎にも葉がつきますがロゼット状にはなりません。このような形質も遺伝的に決まっているものです。
もう少し暖かくなって、成長をはじめたら1株を丁寧にばらばらにして根、葉、茎がどんな具合に組み合っているか観察してみると理解が深まります。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-02-17