質問者:
高校生
317
登録番号5309
登録日:2021-12-23
先日youtubeの動画を見ていたら、青いカキには毒があるとあり、調べてみると、未熟なカキやスモモの果実にある種子にはアミグダリンという青酸配糖体が含まれていることがわかりました。しかしこの物質の働きや、これが含まれない植物ではどのように代用しているのか、または特有のものなのかはわかりませんでした。そこで、この物質は植物の発生においてどのような働きをしているのかをご教授いただきたいです。
アミグダリン
317様
ご質問、ありがとございます。私の分かる範囲で回答致します。
調べた限りでは、未熟なカキの種子にアミグダリンがあるとの情報は得られませんでしたが、農林水産省のWEBによりますと、スモモを含むバラ科の未熟な種子にはアミグダリンやプルナシンなどの青酸配糖体が含まれていることの注意喚起が記載されています(<https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/loquat_kernels.html> ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう:農林水産省(maff.go.jp))。スモモの他には、ビワ、アンズ、ウメ、モモ、サクランボなどがあげられていますが、果実の熟成に伴って分解されますので、熟成した果実を食べても、健康には影響ないとのことです。未熟種子に多く含まれると言うことは、熟成までの間に鳥獣害から避けるためにバラ科の果樹は青酸配糖体を蓄積するという生存戦略をとってきた結果だと思われます。青酸配糖体は動物体内で容易に分解され、青酸を発生します。ご承知のように、青酸はミトコンドリアでの呼吸(エネルギーを作るための電子伝達系)を阻害する猛毒です。一方、無毒になった成熟果実は、生存範囲を広げるために鳥獣経由で種子を運んで貰う戦略をとっているものと思われます。カキの果肉にはタンニンという渋みのもとになるポリフェノール化合物が含まれており、これも鳥獣害に対する適応だと思われます。タンニンは、チャやブドウなどにも含まれています。動物は、苦み、渋み、酸味を避ける傾向がありますので、個体として動けない(逃げられない)植物は、成長戦略としてこのような物質を時期や器官特異的に集積するような進化をしてきたのだと思われます。また、クルミやクリ、柑橘類のように物理的に丈夫な果皮で、鳥獣被害からまもるタイプもあります。積極的に有毒成分を蓄積する植物も多数あり、例えばナス科ではアルカロイドのソラニンを持つジャガイモの芽や茎、トマチンを持つ未熟なトマトなどです。鳥獣だけではなく虫害を忌避する成分を持つ植物も多数あり、日本人になじみのあるアブラナ科のナタネ、キャベツ、ダイコンなどは、グルコシノレートと呼ばれる苦み・辛み成分を含んでいます。自然界では有毒植物が非常に多く、私たちの先祖は多くの経験から毒性のない、あるいは少ない植物を選別して毒成分を除去後、食用や飼料用に供してきたと考えられます。
ご質問、ありがとございます。私の分かる範囲で回答致します。
調べた限りでは、未熟なカキの種子にアミグダリンがあるとの情報は得られませんでしたが、農林水産省のWEBによりますと、スモモを含むバラ科の未熟な種子にはアミグダリンやプルナシンなどの青酸配糖体が含まれていることの注意喚起が記載されています(<https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/loquat_kernels.html> ビワの種子の粉末は食べないようにしましょう:農林水産省(maff.go.jp))。スモモの他には、ビワ、アンズ、ウメ、モモ、サクランボなどがあげられていますが、果実の熟成に伴って分解されますので、熟成した果実を食べても、健康には影響ないとのことです。未熟種子に多く含まれると言うことは、熟成までの間に鳥獣害から避けるためにバラ科の果樹は青酸配糖体を蓄積するという生存戦略をとってきた結果だと思われます。青酸配糖体は動物体内で容易に分解され、青酸を発生します。ご承知のように、青酸はミトコンドリアでの呼吸(エネルギーを作るための電子伝達系)を阻害する猛毒です。一方、無毒になった成熟果実は、生存範囲を広げるために鳥獣経由で種子を運んで貰う戦略をとっているものと思われます。カキの果肉にはタンニンという渋みのもとになるポリフェノール化合物が含まれており、これも鳥獣害に対する適応だと思われます。タンニンは、チャやブドウなどにも含まれています。動物は、苦み、渋み、酸味を避ける傾向がありますので、個体として動けない(逃げられない)植物は、成長戦略としてこのような物質を時期や器官特異的に集積するような進化をしてきたのだと思われます。また、クルミやクリ、柑橘類のように物理的に丈夫な果皮で、鳥獣被害からまもるタイプもあります。積極的に有毒成分を蓄積する植物も多数あり、例えばナス科ではアルカロイドのソラニンを持つジャガイモの芽や茎、トマチンを持つ未熟なトマトなどです。鳥獣だけではなく虫害を忌避する成分を持つ植物も多数あり、日本人になじみのあるアブラナ科のナタネ、キャベツ、ダイコンなどは、グルコシノレートと呼ばれる苦み・辛み成分を含んでいます。自然界では有毒植物が非常に多く、私たちの先祖は多くの経験から毒性のない、あるいは少ない植物を選別して毒成分を除去後、食用や飼料用に供してきたと考えられます。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-02-25