一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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スカシユリの茎のこれは何?

質問者:   一般   ゆきちゃんのバラガーデン
登録番号5310   登録日:2021-12-26
6月7日
スカシユリの茎の葉の付け根部分に赤茶色の芽のような、或いは蕾の赤ちゃんのような、ものが付きました。
下の方の葉の付け根から、上の方の付け根まで、葉の付け根全部に出来ました。
一体これは何だったのでしょうか?

(注:写真は回答後に、ゆきちゃんのバラガーデンさんが送ってくださいました)
写真1

写真1

写真2

写真2

ゆきちゃんのバラガーデン様

こんにちは。日本植物生理学会の植物Q&Aコーナーに寄せられたあなたのご質問「スカシユリの茎のこれは何?」にお答えします。

実物や写真を見ないとはっきり分かりませんが、ユリの仲間で、「茎の葉の付け根部分」につく「赤茶色の芽のようなもの」といえば、おそらく珠芽(むかご)だろうと思います。珠芽はまさしく芽が変化したもので、「芽のような」ものです。鱗茎(球根)と同じような構造をしており、地に落ちれば根を出し、芽を出して、新しい個体になる栄養繁殖の役割を担っています。ただし、ユリの仲間であっても珠芽をつけるものは多くはありません。スカシユリは普通は珠芽をつけることはないようです。他方、オニユリは珠芽をつけることがよく知られています。スカシユリも稀に珠芽をつけることがあるようですが、オニユリのように「下の方の葉の付け根から、上の方の付け根まで、葉の付け根全部」に出来るかどうかは分かりません。スカシユリがこのようにたくさんの珠芽をつけたのならば珍しい例かもしれません。しかし、もしもあなたのご覧になったのがスカシユリではなくオニユリだったりすると珍しい観察例ではなくなってしまうので、慎重になる必要があります。ユリの仲間は横向きまたは下向きの花をつけるものが多いのですが、スカシユリは上を向いた花を咲かせます。この点を注意してもう一度ご確認ください。
竹能 清俊(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-03-09