一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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花びらの構造について

質問者:   中学生   お茶漬け
登録番号5334   登録日:2022-02-12
理科の授業で植物の構造について学習したのですが、花びらについてはあまり触れず、疑問に思った部分があったので質問させていただきます。
花びらに葉と同じように筋が入っており、自分では元々葉だった頃の名残りのような認識なのですが、花びらとなっても葉脈のような役割はあるのでしょうか。そのような役割がない場合、花びら部分の細胞はどのようにして栄養を得ているのですか。またどのような細胞の配置などで筋ができるのですか。
非常に基本的な質問かもしれませんが、よろしくお願いします。
お茶漬け君

みんなのひろば 植物Q&Aへようこそ。
質問を歓迎します。
回答は、植物の分子/発生遺伝学分野の研究をされている、塚谷裕一博士(東京大学大学院理学系研究科教授)にお願いしました。

【塚谷先生の回答】
 質問をありがとうございます。
 ご指摘のとおり、花びら(花弁)も葉が変形した器官なので、葉と同じく葉脈に当たるものが走っていて、そこから水分や糖などの栄養分が植物体の他の部分から供給されています。蕾のときに色水を吸わせると花の色を染めることができますね、あれもこの脈を通って色素が入るからです。で、どのように脈ができるかですが、これは葉に葉脈ができるときと同じ仕組みです。この仕組は非常に細かいところまで分かっていますが、その理解にはたくさんの予備知識が必要ですので、簡単に端折って言うと、植物ホルモンのオーキシンという物質がはたらいています。葉でも花弁でも、最初は小さな突起として生まれ、細胞が増殖しながら大きくなっていきます。これを葉や花弁の「原基」といいます。原基が成長していく間、オーキシンが原基の中で作られながら植物の茎の方へと流れていくのですが、このときにオーキシンが流れていった通路にそって、脈が作られるのです。
 ちなみに、植物の種類によって葉脈も花弁の脈も形(脈理)がだいぶ違います。これはオーキシンの流れ方と原基の成長の仕方の組み合わせで生まれると理解されています。ぜひいろいろな種類で脈理を見比べてみてください。
塚谷 裕一(東京大学大学院理学系研究科)
JSPPサイエンスアドバイザー
櫻井 英博
回答日:2022-03-09