一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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花粉の稔性検定方法と花粉管の伸長と染色方法

質問者:   その他   坂野 仁玲
登録番号0538   登録日:2006-02-24
花粉の稔性はコットンブルーの染色で形状や染まり具合などで判断するらしいのですが、本当に稔性があるかを花粉レベルで確認する染色法はないでしょうか?
また、花粉管がのびれば活性のある花粉と判断されやすいと思いますが、私が担当する野菜では抽頭内での花粉管の観察は難しく、培地で試みていますが花粉管が伸びません。
どうすればよいでしょうか?
観察実験の文献はないのでしょうか?
坂野 仁玲 様

お寄せいただいた質問にたいする回答を東北大学農学部の鳥山教授にお願いいたしましたところ、以下のようなご回答をいただきました。参考にしてください。

 
花粉稔性を見る場合 本当に稔性があるかは、受粉した柱頭を観察して花粉管伸長を見るのがよいと思います。
受粉後1晩位たった雌しべを1N NaOHに入れ、60度1時間処理した後、アニリンブルー液(2%K3PO4水溶液にアニリンブルーを0.01%溶解し、1昼夜以上放置したもの)に浸し、スライドグラス上で染色柱頭を取り出してカバーガラスをかけて押しつぶします。
蛍光顕微鏡で観察すると、花粉管細胞壁(β1,3ーグルカン)が蛍光を発し、花粉管伸長を観察できます。
「花粉の生死判定」に関する染色法では、テトラゾリウム塩法やFDA法があります。これらに関する手法は、「花粉学事典」日本花粉学会編集 ISBN 4-254-17088-2 C 3545が参考になります。
ただし、テトラゾリウム塩法やFDA法で染色されたからといって本当に稔性があるとは限りません。

 鳥山 欽哉(東北大学大学院農学研究科環境適応生物工学研究室)
京都大学、日本植物生理学会広報委員
 河内 孝之
回答日:2006-03-06
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