一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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樹木の毎年の成長量について

質問者:   高校生   りょうすけ
登録番号5382   登録日:2022-05-27
こんにちわ北海道に住んでいます。
毎年樹木の成長を観測して凄く不思議に感じたことがあります。
年によって成長量が違うことが、
ちやほやあります。固体間で違いも有りますが、
特にナラ類、イタヤ類等に見られるのですが
大体植栽後4〜5年は経過し、樹高は大体2〜3mの間ぐらいです。植栽木、自生木共に、
春の一次成長で、去年は30cmぐらい伸びたミズナラですが、今年は10cmしか伸びなかったり、樹種や固体にもよりますが、その逆もあります。
これらは、樹木の生理的なものなのでしょうか?凄く気になっています
もし、なにか分かることがありましたら回答していただけると嬉しいです。宜しくお願い致します
りょうすけ様

ご質問、有り難うございました。樹木の視点、これからの地球環境を考える上でもとても大切だと思います。
観察をしっかりされておられる様子で、頼もしく思います。個体差のことも触れておられますが、できれば同じ樹種で複数個体を観察して、その平均や標準偏差をとれる統計学的な観察をされると、より疑問がわかりやすくなると思われます。

さて、樹木の成長は縦方向と横方向の両者で判断されますので、一概に縦方向だけで考えるのは無理がありそうです。可能であれば、地上高を決めて、幹の太さも計測されては如何でしょうか。年ごとの伸張差を問題にされておられますが、年ごとの温度差や日照量、さらに積雪量の差など、違いはありませんでしたでしょうか?ご承知のように、成長は環境要因によって大きく左右されますので、頂いたご質問内容だけでは、申し訳ございませんが判断しにくい状況です。遺伝的な要因や、土壌中の栄養状態や水分量が年ごとでほぼ同じと仮定しますと、成長に関わる大きな要因は年間の光合成量と、あと病虫害(特に蛾の幼虫による食害)です。年ごとの伸張差を再現性よく示すのは、樹木の成長時期も異なりますのでかなり難しいことかと思われますが、是非、観察を続けて見て下さい。縦方向と横方向の成長も、合わせてお考え下さい。

なお、本Q&Aコーナーには、樹木の成長に関する記載が多くあります。登録番号0101, 4445, 4997なども参考にしてみて下さい。

また、国の研究機関の森林総研北海道支所( <https://www.ffpri.affrc.go.jp/hkd/> 森林総合研究所 北海道支所/ホーム (affrc.go.jp))に「お問い合わせ」コーナーがあります。
北大の森林科学科( <https://www.agr.hokudai.ac.jp/s/forest-science> 森林科学科 – 北海道大学 農学部/大学院農学院/大学院農学研究院 (hokudai.ac.jp))にも、問い合わせが可能だと思います。
山谷 知行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-05-31
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