一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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きゅうりの根っこのにおいについて

質問者:   小学生   K
登録番号5425   登録日:2022-08-10
ぼくはベランダできゅうりをそだてています。
前に間引きをしたときに、根っこからきゅうりの実のにおいがしました。はっぱからは実のにおいはしませんでした。
どうして根っこからきゅうりの実のにおいがするのか分からないので、教えてください。
K くん

この質問コーナーを利用して下さって、ありがとうございます。
植物はいろんなにおいを出しています。特に花はにおいを出すことで虫や鳥に花はここにいるよと教えています。そして花粉を運んでもらったり、ほかの花の花粉(かふん)をもらったりして実(種子―たねー)をつくることを助けてもらっています。葉、茎、根もそれぞれにおいのもとを持っています。そのままではにおわなくても、たいていは切ったり、もんだりするとおいが強くかんじられます。ニラ、ミツバ、パセリー、セロリー、ハッカをはじめハーブと呼ばれる香草類(こうそうるい、葉や実ににおいのもとをもっている植物をまとめて呼ぶことば)など、においのもとは細胞(さいぼう:体全体は小さな袋-細胞-からできています)の中や、こわれやすい毛の中にためられています。やさい、果物などがにおいを出す理由(りゆう)はいろいろありますが、上に書いたように花粉を運ぶ小動物をよびよせたり、動物にたべられて種子(たね)を広い範囲(はんい)にまいてもらったり、動物がきらいなにおいをだして自分を守るはたらきなどがあります。
キュウリの青臭いにおいはヒトによって好ききらいがありますが、キュウリの特性(とくせい)の1つで、においのもとはわかっています。ただ、小学2年生のKくんにはまだむずかしいのでにおいのもとの正体はここでは説明しませんが、カロチンやガソリンのように炭素(たんそ)が鎖(くさり)のようにつながったもので、炭素の数は9個のものが主なせいぶんです。キュウリがにおうのは生でかじった(傷つけた)ときですね。しっかりとしらべた報告はありませんがにおいのもとは、外側の緑色をした皮の部分に多くあるようで、根にも葉にも含まれているはずです。根がにおったのは根を地中から引きぬいたので、表面にきずがついたからだとおもいます。葉がにおわなかったのは、においのもとはあるはずですが葉をそのままでにおいをかいだからではないでしょうか。葉をもんだらどうでしょうか。似たようなにおいがするはずです。細胞の中にある、においのない成分が、細胞がこわれたことで反応が始まり、においの成分に変わることもあります。
お茶の生葉をもむと(つまり細胞をこわすと)いい香りが出来ますが、これは細胞をこわしたことで脂肪酸(しぼうさん:食用油をつくる成分です、殆どにおいはありません)からつくられる炭素数6の鎖状の物質、青葉(あおば)アルコールや青葉アルデヒドとよばれる物質によるとされています。キュウリの葉でも同じようなことがおこるとおもいます。
Kくん、面白いことに気がついたのでこれからも観察をつづけてしっかりと記録をのこし、将来、キュウリの青臭さの研究を目指しませんか。この質問はかなりむずかしいものですから、回答がくどくなりました。分からないことがあったら、遠慮なく再質問して下さい。
今関 英雅(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:2022-08-11
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