一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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オオカナダモの葉の細胞内の微生物?

質問者:   教員   F
登録番号5446   登録日:2022-08-29
先日、光学顕微鏡を用いたオオカナダモの葉緑体の観察の授業で、細胞内にて微生物のように細かく、不規則な動きをするものが見られました(400倍)。オオカナダモの葉の細胞内に微生物が生息することはあるのでしょうか?

葉緑体の原形質流動のように細胞質の一部かと考え、うすい塩酸で固定して再度観察しました。流動しない中で、微生物のようなものは、数は減りましたが見られました。

よろしくお願いします。

F 様

この質問コーナーをご利用いただきありがとうございます。ご質問には大阪大学の高木慎吾先生から下記の回答文をいただきましたので参考になさってください。

【高木先生からの回答】
質問および動画を拝見しました。
細胞内のものはミトコンドリア、もしくは、液胞内を漂っている顆粒(不要物などが凝集したもの)、細胞外のものは細菌(バクテリア)と思われます。ミトコンドリアは細胞質基質の中にあり、おそらく、アクチンとミオシンとの相互作用によって能動的に運動すると考えられますが、液胞内の顆粒、細胞外の細菌は、受動的に、ブラウン運動をしていると考えられます。

塩酸で固定すると、葉緑体も含め、能動的な運動は起こらなくなりますが、ミトコンドリア、液胞内の顆粒、細菌は、いずれも、ブラウン運動によって動き続けると思われます。また、固定によって細胞内の構造が壊れると、液胞と細胞質基質とは、入り混じってしまうかもしれません。

注目している構造の正体が何なのかを判断するのは、光学顕微鏡では、難しいと思います。






高木 慎吾(大阪大学大学院理学研究科生物科学専攻)
JSPPサイエンスアドバイザー
佐藤 公行
回答日:2022-09-05