一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

植物Q&A

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マグネシウムの検出方法について

質問者:   その他   青木勝利
登録番号0546   登録日:2006-03-01
高等学校授業レベルで、葉の中や合金などに使われているマグネシウムを、白色ではなくカラフルな色で検出する簡便な方法があったら教えて下さい。
このときの反応の仕組みと試薬代はどのくらいかかるかもお願い致します。

青木 勝利 様

 植物の生育にとって欠かすことのできない必須元素であるマグネシウムは、クロロフィールの成分であり、また、細胞内のリン酸代謝に必要な成分として、多くの酵素の活性化などにも機能しています。土壌にマグネシウムが含まれていないと、植物はマグネシウム欠乏となり、葉が黄色になったり、生育が悪くなったりします。また、マグネシウムが土壌に多量にありすぎても、植物はマグネシウム過剰による障害を受けます。このため、土壌、植物のマグネシウム含量測定は植物の栄養診断の一つとして広く行われています。

 マグネシウム(イオン)はチタンイエロー(Titan Yellow、25gで約5,000円)と反応させ、これに苛性ソーダを加えアルカリ性にすると、マグネシウム・イオンがチタンイエローに配位(キレート)し赤色となります。この反応はマグネシウム・イオンに特有の反応で、赤色の濃さから定量することができます。

野外でもできる半定量法については次の書籍が参考になると思います。
渡辺和彦著 「原色―野菜の要素欠乏・過剰症―症状・診断・対策」、農山漁村文化協会(東京)(2002) (2200円)
 この書籍にはマグネシウムのみでなく植物の生育に必要な無機養分(ミネラル)について、欠乏、過剰の症状がカラー写真で示され、マグネシウムのみならず植物の生育に関与するミネラルの野外でもできる分析法が記載されています。
この書籍での方法(p.80)は、植物の水抽出液(2 ml)に0.1%チタンイエロー水溶液1滴、ついで、10%苛性ソーダ5滴(0.5 ml)を加え、発色する赤色を書籍に掲載されている濃度の異なるマグネシウムについての赤色と比べれば、半定量的に含量を求めることができます。合金の中のマグネシウムは試料を酸で溶かし、上と同じ方法で測定できるでしょう。
JSPPサイエンスアドバイザー
 浅田 浩二
回答日:2006-03-02
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