一般社団法人 日本植物生理学会 The Japanese Society of Plant Physiologists

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オクラのネバネバ成分はなぜ葉や茎に付いているのか

質問者:   小学生   あやみ
登録番号5480   登録日:2022-10-02
私は夏休みの自由研究でオクラを育てました。
観察していると、葉のうらや茎につぶつぶが付いていることに気付きました。
こちらのQ&A(登録番号2295)でオクラのネバネバと同じ物質のつぶだということを知ったのですが、なぜ葉や茎の表面に出てくるのかはわからないと書いてありました。
あの質問から12年がたちました。その後、なぜ出てくるのか、明らかになったのでしょう。

私は最初、ネバネバ成分がないと葉や茎は呼吸ができないのかな、と思っていましたが、虫とかんちがいしてつぶつぶをながしてしまった後もオクラは育ったので、それはちがうことが分かりました。
次に、虫のいやがるにおいがするのかもしれないと思いました。
でも、ネバネバが成分が付いている茎とついていない(洗いながした)茎を育てたところ、どちらにもハダニがついたので、この予想も外れているようです。

ネバネバ成分が付く理由が分からず、調べても答えが見つからなかったので、もし今分かっていれば教えてください。
(本人の代理入力)
あやみさん

質問コーナーへようこそ。歓迎致します。オクラの葉や茎にはどうして粘液を含んだつぶつぶを表面につけているのだろうか。単なるかざりではなく、ちゃんとした役目(機能)があるのではないか。そういう疑問を持つのはとてもいいことです。科学的探究心の始まりです。つぶつぶを洗い流した茎とそうでない茎とを比べると、成長には差がないことと、つぶつぶがハダニを防ぐためのものではないという事がわかったのですね。素晴らしい事です。さて、では一体なんのためにあるのでしょうか。答えは、がっかりするかもしれませんが、オクラのつぶつぶの確かな役目はまだ分かっていません。調べてみましたが、特にオクラを取り上げて、その粘液つぶつぶの役目を調べた研究論文は見つかりませんでした。
オクラに限らず、植物は根、茎、葉、果実、花、種子などの器官において粘液を体外に分泌する例はたくさんあります。これらの粘液の役割も厳密にいうと詳しくは調べられていません。粘液(物質)の種類はそれを構成している化合物の種類によって色々あります。これらの粘液の性質や、植物の種類、器官の違いなどから、ケース・バイ・ケースで以下のような役目を果たしているのではないかと言われています。保水、蒸散(葉や茎の表皮にある気孔という小さな孔からの水の蒸発)や体表からの普通の蒸発による水の損失をおさえる、強い光りの照射を反射や散乱によって弱める、昆虫などの食害を防ぐ。しかし、いずれの場合も実験的証明はなされていません。他に特殊な例としてはモウセンゴケのような食虫植物がありますが、この場合は捕虫と捉えた虫の消化などに関係しています。
あやめさんの観察ではハダニはつぶつぶがあってもいなくてもつくようですね。しかし、オクラの害虫とされているアブラムシの仲間、ハスモンヨトウ、ワタノメイガ等、他の虫はどうでしょうか。また、乾燥状態になりやすい条件の元でもつぶつぶのあるなしは成長に影響ないでしょうか。できたら色々試してみてくださいください。
勝見 允行(JSPPサイエンスアドバイザー)
回答日:
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